■あなたの選択は?『花束は毒』
『花束は毒』織守 きょうや 著 文春文庫【内容(「BOOK」データベースより)】憧れの家庭教師だった真壁が結婚を前に脅されていることを知り、僕は尻込みする彼にかわり探偵事務所に調査を依頼。そこに現れたのは中学時代にいじめに遭っていた従兄をえげつない方法で救ってくれた先輩の理花だった。調査を進めるにつれ、見えてきた真実。背筋も凍るラスト。気鋭のミステリ作家による、衝撃の傑作長編!兄のように思い憧れの家庭教師だった真壁が脅迫されていることを知った木瀬芳樹。結婚を目前に控えた真壁に結婚を邪魔する脅迫の手紙。大学生の木瀬芳樹は、躊躇する真壁の代わりに探偵事務所に依頼。担当調査員は中学の先輩だった北見理花。中学生の時から依頼料をもらって困りごとの解決を受けていた人物。時にはえげつない手を使い、難なく依頼を解決していた。物語は、依頼者の木瀬芳樹の「僕」と探偵の北見理花の「わたし」の一人称視点で進んでいく。読んでいくうち、だんだんと展開が読めてくる。探偵の理花が言う、「探偵は依頼者に報告書を渡したらそれで終わり」その後どうするかまではかかわらない。例えば犯人が分かってもそれを警察に届けようがどうしようが依頼者の問題で、探偵事務所は犯人が誰だったか報告すれば、仕事は終了ということ。そこを文中で何度もしつこく言っていた。これが報告を受けた「僕」こと木瀬芳樹が直面するラストにつながる。この小説も賛否両論ありそうだ。結末が気に入らない人には低評価になるし、それがなるほどねとなれば高評価になる。途中で真相はわかったし、いったいその後どうするのだろうと、それだけ気になった。ところが、その後のことは書いてない。それはないだろうと、ブチ切れる人がいそうだ。でも、これは難しい。木瀬芳樹が苦悩するところで終わるのだ。これは本当に迷うよね。人の幸せを壊すことになるか正しいことは貫き通すべきか。でも、その正しいことって何?という問いにもなる。このラストは読者に問うていることかもしれないね。あなたならどうするって?うん、うん、後でいろいろ考えたら、こういう結末もいいんじゃなーいって思った。