芭蕉入門 井本農一著 *「髑髏(野ざらし)紀行」 

 

    ーーーーー 野ざらしを心に風のしむ身かな

 

         「野ざらし」は「されこうべ」ともいいますが、野に捨て去られた髑髏(どくろ)、

         つまり人が死んで風化してしまった頭蓋骨です

         句の意味は、道に行き倒れて骨を野辺にさらす覚悟で旅立つのだが、そんな我が身に

         秋風がひとしお身にしむことだというので、季語は「身にしむ」で、秋冷の気が身にしみて

         感ぜられることです

 

         こうして旅に出ましたが、箱根の関所を超えて、冨士川のほとりまで来ましたところ、

         河原で二、三歳の捨て子がいかにも哀れ気な声で泣いています

         

          富士川のほとりを行くに、三つばかりなる捨子の哀れ気に泣くあり この川の早瀬にかけて

          うき世の波をしのぐにたえず、露ばかりの命待つ間と捨て置けむ

          小萩がもとの秋の風、今宵や散らん、あすやしほれん、と袂より食ひ物投げて通るに、、、、、

 

 

   野辺に晒すという野ざらしが一般的に一挙に人骨を晒すという意味になるとは知らなかった

   「野ざらし」とは 人骨骸骨髑髏されこうべ とは知らなかった

   「野ざらし紀行」とは「人骨骸骨髑髏されこうべ紀行」となる

   さりげなく「野ざらし紀行」というが いや 江戸時代の芭蕉にとっては、さりげなくなかった、、、、

   「捨て子」も 現代とは あまりにも違う感覚、、、、

 

   時代を超えた真実 を

   「言葉」で共有する、、、、