ジョー・クリスマスの話
あのね ある小説で 気になったことを 話したい いい?
いい
その男は 流れ者で 仕事はしっかりするけど 一定期間働くと辞めて 次の町に行くという生活をずっとしている
その男は30代 ある時 弁護士をしている年上の女と会って 一緒に住むことになる のね
数か月後 「もういい加減 住所不定の生活をやめて 仕事を持って 弁護士の仕事を私が教えてあげるわ
(この話は 南北戦争が終わって数十年後のアメリカ南部の話) です
「ずっと私と一緒に住みましょ いいわね 私の弁護の仕事を手伝いながら 学校へ行ったらいいわ 全部私が準備するから
ね いいわね」
何日経っても男はうんと言わない
女は焦ってきて 私は妊娠している と嘘をつく
口論になると 女はピストルを出してヒステリー状態になり 男はピストルを奪って 女を殺す という話
だが
気になったのは その口論
女は 「人生というものは 仕事をしっかり持って 安定した社会生活するのが一番幸せじゃない」 と言う
男は 「俺がもしそうしたら 今までの俺がやってきた生活が無駄になってしまう
今までやってきた生活の仕方は 俺が選んだ人生の証明なんだ ”俺が俺であることの証明”なんだ
生活を変えることは ”俺自身であること”を変えることになる 出来ない
俺は 黒人の血が入っているんだ まともな安定した生活はできない ”俺は自分の運命を生きる”」
「すべてが用意され整い安定した 偽善的な幸せな生活をするわけにはいかない」
男は女を殺すと 家に火を放ち逃亡 すぐ 町の自警団に捕まりリンチされ殺される
男はわざと袋小路に逃げた____
自殺
その男が フォークナーの『八月の光』の主人公ジョー・クリスマスなのね
まあね
その男ジョー・クリスマスは 反社会的に生きることが 自分らしく生きること と思っているんでしょ
彼は捨てられた子で 暴力的な狂信家に育てられ 真面目に高校時代まで耐えるけど
ある時とうとう爆発し その育ての親を殺してしまう
反社会的だらけね
黒人の血というのも 遠い評判を信じ 彼は自分は黒人だと思い込む 黒人差別の酷い時代 しかも南部
反社会の血を生きる 開き直りの生き方を 全うしようと思っていたのね
聖書を拷問のように読ませる狂信家に育てられたから 彼も 狂信的に反社会的に生きるようになったのかも
自分の運命を生きようとしたのね マイナスの生き方ね
年上の女の弁護士が プラスの生き方を強く勧めると 彼は 切れる
あなたは 彼の生き方から 何か 学んだの?
運命の生き方 マイナスの生き方かな?
あなたに 何か 通じるものがあるのね?
フォークナーの小説って ひどく思い込んで生きる人ばかりが出てくる ”思い込み”で生きる人ばかりが
私は どうかなあ?