『この人を見よ』ニーチェ解説 訳者西尾幹二
________『この人を見よ』は 正気の中に微量の狂気が早くも混じり また隠れた狂気のお蔭で
正気の認識がかえって一層の鋭さを増し 深みに達し まったく新しい認識の地平をも
拓く一方 やがてその限界のラインをも越えて 狂気そのものが誤魔化しようもなく露呈し
一切を呑み込んでゆく というプロセスを辿っている
正気とか 狂気とか 読者はつまらぬ区別立てにこだわらずに 虚心に一語一語を噛みしめて
読んでみればいい 自分の心の奥のまた奥を見通す 肺腑を突く言葉の数々に必ず出会うだろう
そしてその言葉の持つ魂の打ち震える思いをしない読者は、、、心ある読者であるならば、、、、
恐らくいないであろう