リリアーナ・カヴァリーニ監督

『愛の嵐』

(原題:The Night Porter)

 

「あ、私の恋愛のがまともだわ」

と思える映画。

(恋愛荒療治)

 

 

こんにちは。

 

スターシード図書館へ、

ようこそ。

 

館長の星子(ほしこ)です。

 

 

館長はスピリチュアルに目醒める前、

 

クラシックな洋画にはまっていました。

 

それは、もう、高校生の頃からなんですよね。

 

なので、同級生が、

 

キムタクだ、岡田君(V6)だとか、

 

ドラマの話をしているのに、

 

全くついていけなかった・・・。

 

そう、ジャニーズには、

 

全く興味がなかったのです。

((笑))

 

好きだったのは、

 

『カサブランカ』などの白黒映画。

 

ハリウッドの洋画でした。

 

そのような高校生時代を過ごし、

 

その後、フランスやイタリアなど

 

ヨーロッパの映画を観るようになり、

 

そのまま、社会人になってからも、

 

数えきれないほどの古い映画を観ていました。

 

 

古い映画は、リバイバル上映されない限り、

 

DVDやブルーレイで、観るしかありません。

 

小さなレンタルビデオ店が館長の地元から

消えて行ってからは、

 

TSUTAYAと大手CDショップが、

 

館長の「お友達」となりましたw。

 

 

館長の洋画遍歴の話は

 

これくらいにして、

 

なぜ、こんな話をしたかと言いますと、

 

今回、取り上げた映画を観た時、

 

「とうとう、ここまで来てしまった感」

 

があったからです。(笑)

 

わあ、洋画好きの自分、

 

とうとう、この作品まで来てしまったと。

 

大げさかもしれませんが、

 

「映画の極北」に来てしまった、

 

そんな気がしました。

 

 

というわけで、

 

今回はR指定(確かR15)なうえに、

 

「閲覧注意」ともいえる映画

 

『愛の嵐』

 

を取り上げます。

 

「閲覧注意」とはいえ、

 

ホラーのようにグロテスクではありません。

 

セ○クスのシーンも、過度に、いやらしいわけでも、

意外とないのです。

 

なので、Hなものを期待して、この映画を鑑賞すると、

 

結構、肩透かしを食らうことになるかもしれません。

 

さらに、先に忠告しておきますと、

 

昨今、宇宙意識などに目醒め、

 

ワクワクに沿って行きたいとか、

 

波動を軽くしたいとか、そういう人も、

 

たぶん、この映画を観ない方がいいかもしれません。

 

いわゆる、ゆるフワ・スピリチュアルが

 

好きな方には、

 

絶対、向かない映画です。

 

(館長は別にゆるフワスピ、

そんなに嫌いではないんだけど)

 

じゃ、どんな人に

 

お薦めなんだ!?

 

というと、

 

重度の恋愛の悩みを

 

抱えている人です。

 

その「かたち」は今回は、

 

あまり関係ありません。

 

不倫恋愛や、ホスト・女性向け風俗など

 

金銭を介した恋愛などであっても、

 

ひどい恋愛の悩みを抱えているとは限らず、

 

あっけらかんとしている人もいるし、

 

事実、あっけらかんと明るくしていることも

できるのです。

 

 

 

というわけで、今回は

 

「人に言えない恋愛をしている人へ」

 

と言うタイトルではなくて、

 

あくまで、そうした要素はサブ的なものなので、

 

特別編としました。

 

 

特に精神的に、至極、重たい気持ちで、

 

深刻に思い悩んで、

 

どうしようもない人に観て頂きたい映画なのです。

 

そういう重くつらい気分の時、

 

キラキラ・ハッピーな恋愛映画などを

 

観てしまうと、自分がいる現実とのあまりの違いに

 

精神的に乖離が生じてしまいます。

 

茫然としてしまい、ただただ、理不尽な自分の現実に

 

涙があふれてきてしまいます。

 

芸能人の恋愛・結婚・出産報道なども同じです。

 

あの人たちは幸せなのに、どうして、自分は・・・

 

となってしまいます。

 

なので、つらい恋愛の悩みを抱えている時は、

 

そうした報道からは極力離れていましょう。

 

 

さて、前置きがかなり長くなりましたが、

 

では、準備はいいでしょうか。

 

これから、映画のストーリーの解説に入ります。

 

 

限りなく陰鬱な映画です。

 

さらに言うと、性的に何かトラウマがある場合は

 

ちょっと閲覧注意度が増しますので、

 

これから先の記事もつらくなったら、

 

直ちに読むのをやめましょう。

 

 

 

では、ストーリー解説行きます!!

 

 

 

さて、『愛の嵐』の舞台は、

 

第二次世界大戦の爪痕がまだ生々しい

 

戦後のオーストリア、

 

ウィーンです。

 

夕暮れ時、ひとりの男が道を歩いています。

 

彼の名はマックス。

 

実は彼は第二次世界大戦中、

 

ナチスの将校として、

 

強制収容所で非道な所業をしていた。

 

第三帝国が崩壊した後は過去を隠し、

 

ひっそりとホテルの夜勤(Night Porter)として働いていた。

 

ある日、いつものようにホテルのカウンターで

 

宿泊客に部屋のカギを渡していると、

 

目の前にルチアが現れる。

 

マックスはかつて、

 

収容所でルチアを性的に弄んでいたのだ。

 

目が合う二人・・・。

 

ルチアの方もマックスに気づく。

 

今や、マックスは夜勤ポーター、

 

ルチアは有名な指揮者の妻。

 

かつての主人と奴隷の関係が

 

全く逆転していた。

 

ルチアもマックスも、互いに動揺を隠せない。

 

 

 

マックスはいまだ、ナチスを崇拝しており、

 

かつての将校仲間や当時を知る伯爵夫人らと会っていた。

 

彼らは自分たちの秘密を暴露しそうな人間を

 

事故に見せかけて殺害もしていた。

 

そこに、かつての自分の秘密を知るルチアが

 

現れたのだ。

 

ルチアが一人でいる部屋へ入るマックス。

(ポーターなので合いカギ持っているんだよね

↑もち、職業意識なし・・・)

 

ルチアは抵抗するかと思いきや、

 

ひっしと抱き合う二人・・・。

 

(!?)

 

激しく抱き合い、求め合ったまま

 

床へと倒れこむ。

 

(!)

 

互いに抱き合ったまま、

 

ルチアはマックスの名を狂ったように叫び、

 

マックスは「長かった・・・」

 

とつぶやく。。。

 

 

 

はい、ストーリーの途中ですが、

 

おわかりかと思いますが、

 

そう、2人は、

 

実は

 

互いに、

 

会いたかったん

かーい!

 

好き同士だったん

かーい!

 

愛し合ってたん

かーい!

びっくり

 

 

 

・・・はい。

 

 

普通に考えたら、

 

意味不明でしょ~!?

 

ナチ将校で看守と言う自分の立場を使って、

 

年若い少女の自分を性的に弄んだ男と再会したんだよ!?

 

マックスはマックスで、

 

自分の過去がバレるような人物が

 

現れたんだよ!?

 

それなのに、

 

逃げないルチア、

 

夫に知らせないルチア、

 

警察に突き出さないルチア。

 

仲間に報告しないマックス、

 

殺す計画を立てないマックス、

 

過去をたてに夫をはずかしめようとも

しないマックス。

 

そして、2人は止めることのできない

 

愛の嵐に身をゆだね、

 

破滅への道をひた走るのである。

 

 

 

はい

 

いやいやいやいや。

 

ちょ、どうなってんだ、と思うあなたは、

 

至極まとも。

 

さて、ストーリーを最後まで語ります。

(この後はネタバレになります)

 

 

ルチアの存在がかつてのナチ将校

 

仲間にバレはじめた。

 

消さなければならない・・・。

 

当然、マックスはそんなことをするつもりはない。

 

やっと、再会できたのだ。

 

 

ルチアの方は夫の演奏旅行について行かず、

 

口実を設けてウィーンに残っていた。

 

ルチアの方も再会したマックスと離れるつもりなどない。

 

そんな中、自分の過去を知る伯爵夫人のもとへ

 

相談に行くマックス。

 

マックスの様子に深刻で厄介な問題が持ち上がっていることを

 

勘づく伯爵夫人。

 

マックスは夫人に気を許し、かつての収容所での

 

ルチアと自分との関係やエピソードを語りだす。

 

そこで、回想として現れるのが、

 

長いことDVDのパッケージになっていた

 

裸にサスペンダーでナチの制服の帽子をかぶって

 

踊り歌う有名なシーン。

 

このシーンは、結構、唐突に挟み込まれます。

 

どうやら収容所では、

 

将校たちが自分の「お気に入り」を

愛人にしていたよう。

 

そして、その愛人を自分たちの乱痴気パーティに

招いていた。

 

マックスは、ルチアを愛人としていた。

 

ルチアも、マックスになついていた。

 

愛するマックスのために、

 

余興で半裸の姿で陰鬱な歌を

 

歌い踊るルチア。

 

踊り終えたルチアがマックスのもとへ戻ると、

 

マックスがルチアにご褒美だよとばかりに、

箱を差し出す。

 

楽しみに、その箱のふたを開けると、

 

男の生首が入っていた。

 

さすがのルチアも思わず、ドン引き。

 

だが、マックスは満足げに微笑む。

(ドヤ顔)

 

(↑これは、明らかにサロメをモチーフにした

ものですね)

 

回想シーンから伯爵夫人との部屋へ

画面が切り替わる。

 

――彼女(ルチア)がその男(生首の男)を嫌っていてね

だから首を切って贈り物にした、

 

とその経緯を話すマックス。

 

「あなたは異常よ、マックス」

と伯爵夫人。

 

すると、開き直ったかのようにマックスが言う、

 

「異常とか正常とか、いったい誰が決めるんだ?

君だって同じ穴のムジナだ」

 

マックスは伯爵夫人に

 

「(ルチアは)収容所で死んだと思っていたんだ。

 

でも、マイ・エンジェルが帰って来たんだ」

 

という。

 

 

ルチアはマックスの部屋へやって来て一緒に暮らす。

 

かつて「少女」だったルチアに似合いそうな

 

愛くるしいネグリジェをルチアに着せ、

 

愛し合う二人。

 

ところが、マックスがいつまで経ってもルチアを

殺す気配がないため、

 

仲間たちがルチアを殺そうとする。

 

そして、彼女をかばうマックスの命も狙われる。

 

とうとう外出さえできなくなった二人は、

 

マックスのアパートにこもる。

 

兵糧攻めにあい、食料も底をつき、

ジャムに食らいつくルチア。

 

そんな極限状態の中で、セ○クスする。

 

ある日、2人は一緒に外へ出た。

 

マックスが運転する車の助手席にルチアを乗せて。

 

道路に車を止め、ルチアと共に外を歩く。

 

2発の銃声が響き、

 

二人は道路に倒れ、息絶えたのだった。

 

 

え?何、この純愛みたいな終わり方?

 

って感じですよね。

びっくり

 

そう、これはロミオとジュリエットも真っ青な、

 

超濃縮版

 

純愛恋愛映画

 

だったのですね~!

 

場所や状況、

 

2人の関係性さえも、

 

飛び越えてしまう、

 

2人の愛の絆。

 

プラトニックな愛ではなく、

 

性的に結ばれていることもポイント。

 

セ○クスの関係がなかったら、

 

二人はこのような絆をもてなかなったのではないか

 

と思います。

 

プラトニックな恋愛は、言葉=マインドに頼るものであるため、

 

マックスとルチアのような、

 

常識的にはありえない、

 

原初的、本能的ともいえる関係は、

 

むすべなかったのではないかな?と思うのですよね。

 

もし、プラトニックな関係だったら、

 

こういう結末にはなっていなかったかもしれません。

 

いずれにせよ、「愛」というものについて、

 

視野が広がる映画であることは

間違いありません。

 

「愛とは傷つけないこと」、

 

「愛とは互いを思いやること」

 

と言った考えでは、

 

到底理解できない主人公たちの行動。

 

(なので、愛と光のゆるフワスピ好きには、

お薦めできませんでした。)

 

ただの「倒錯した愛」

 

というには、

 

あまりに奥深い

 

愛の世界、

 

それを教えてくれるのが、

 

『愛の嵐』と言う映画なのです。

 

 

 

※映画の中のセリフは解説しやすいように

 

少し変えてあり、

 

実際のものとは多少異なります。

 

 

いかがでしたか?

 

この二人の関係を見た後では、

 

悩んでいた自分の恋愛も、

 

ごくごく平凡な普通のものに

 

思えてきませんでしょうか。

 

そこまで悩まなくてもよいものに

 

思わないでしょうか?

 

主人公2人に比べたら、自分の恋愛の方が、

 

ずっとましで常識的だと思いませんか?

 

 

しかし、普通に考えたら、

 

ヒドイひどい男と

 

ヒドイひどいめに

あった女の

 

ひたすら悲惨な話

のはず。

 

そもそも、主人公のマックスを下手な役者が演じたら、

 

単なるド変態

 

になっていたはず。

 

しかし、そうならず、

 

悲恋の純愛もののような

 

カタルシスのラストへもっていけたのは、

 

ひたすら、

 

ダーク・ボガードと

 

シャーロット・ランプティングの

 

名演と

 

リリアーナ・カヴェリーニの

 

手腕

 

によるものでしょう。

 

この3人がいたからこそ、

 

出来た映画なのですね。

 

巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督も、

 

リリアーナ・カヴァリーニのことは、

 

褒めていました。

 

さて、この、

 

どヘビーな映画の世界に

 

浸ってみませんか~?

 

 

今日も読んでくださり、

 

ありがとうございました。