好感度が上がるだけ | 梯子ダルマ オフィシャろうブログ

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ラジオネーム:梯子ダルマとして深夜ラジオにメールを送っていた、現在放送作家として働く26歳の男が書くブログです。

思ったことを書いて、賛同・誹謗中傷などの反応がきて、コメントがきっかけで会話をしたり、そんな交流が嬉しいです。


弁当屋。


かれこれ40分くらい待った。そんな僕の後にもなんと10組以上の待ち客。

夕立の如き平日の大盛況も、店側は想定外といった様子で、総員たった3名がてんてこまいまい。




静かな店内、ふと「帰るわ」と聞こえる。
視線を向けると、50代夫婦。夫の方が帰宅宣言。どうやら待つ行為が耐えられないらしい。弁当は妻に任せて俺は帰る、と。

そしたらコイツ、店を出る前に厨房に向かって

「は~や~く~しろよぉ!!!!!」





ええーーー。?


めちゃくちゃキレて。もう自分は店を出るくせに。急かしてんの。店内に轟音と特大の静寂を残し、吐き捨てるように自動ドアをくぐる。


なんなんだ!
大人偏差値2か!




正義感ぶるとかでもなんでもなく、僕は怒りと悔しさで吐きそうでした。なんで僕は「あなた、子どもじゃないんだから。頑張ってる人を怒鳴りつけるってどういうことですか?」と言えなかったのか。本当に情けない、腹立たしい。

弁当を受け取って店を出る。レジのおばさんは、恐怖と悔しさで唇を震わせていた。こんなこと、あっていいのか。不条理だ。




父に話した。
ここまで、「不条理だ」まで全部。

すると思ってもみない反応。
「店側がまず混雑を予め想定しないとダメだな」だと。


ここで珍しく僕がブチギレ。プッツーンと。
とはいえ本当に喧嘩しても面倒臭いから心の中で、ですが。




そんな話をしてるんじゃない、と思った。
俺がしてるのは「客として、人として良くないことである」という話だ。「苦労人が砂をかけられる不条理」への怒りの話だ。何を経営システムの話を盾にして、店を批判しているんだ。第一声で。ふざけるな。確かに店側にも、もっとやれることはあったかもしれないが、今働いている彼らにとってはどうしようもないことじゃないか。たまたまシフトに入って、不運にも混雑して大忙し。どこに批判されるところがある。さっき店にあったのは「理不尽でモラルに欠けた客と、悔しさで震える店員」だけだ。「店側がまず混雑を予め想定しないとダメだな」じゃないんだよ、本当に。本当に。ふざけるな。「唇を噛み、恐怖と情けなさを押し殺して震える店員」を見ていないから、お前はそんなことが言えるんだ。生まれて初めて、初めて心の中で父のことを『お前』と呼んだ。




僕が不貞腐れて黙っていると、「そういうの慣れないと、(社会で今後)やってけないぞ」と言われる。僕がダラダラと「クレーマーへの怒り」を引きずっていると思ったらしい。違う。僕が怒っているのはあなたのことだ。まず最初に店側の落ち度を取り上げたあなたの語り方に怒っている。「確かに酷いよね、でも」が冒頭にあればまだしも。第一声からシステム改善!事前対策!じゃないんですよ。俺は『人』の話をしてるんだ。本当にふざけるな。




母に言った。
ここまで、「ふざけるな」まで全部。

「それでアンタがお父さんに怒ったって仕方ないでしょう」と言われる。

確かに、でも。
そうだけど、でも。

やはりここでも、母には僕の怒りを共感してもらえない。




ふと、僕は「共感してほしいのにしてもらえないから怒っている」のかな?と考えてみると、なんとも幼稚で恥ずかしい。


でも、そうでしょう。このケースに関しては。「明らかに不当な扱いを受けた人を目の当たりにした感情」に、僕は個人差なんてあって欲しくない。こう書くと傲慢だけど、「僕と同じくらい怒り、遣る瀬無くならなければおかしい」と思う。そうあるべきだ。




バイト先の店長に言った。
ここまで、「そうあるべきだ」まで全部。

店長曰く「君の父親の言い分が分かる。私も最初は同じことを思った」と。全くもう、なんなのよ、と思っていたがしっかり理由があるらしい。


「君のお父さんは、管理職?」

『はい』

「だからじゃない?」


つまり「普段からどちらの視点に立って考えているか」という事らしい。3年間バイトをしている大学生の僕ではどうしても「レジで涙目になるおばさん」側の気持ちに立ってしまうが、父然り、店長然り、普段から管理者として働いている人間は「そもそもお客様を待たせたのが間違っていて、こうした事が起こらないように原因を追究し、改善しなければ」というスイッチが入る、と。




まぁ確かに、言ってしまえば僕の反応は馬鹿みたいで、感情的。会社での業務を日々こなしてきた社会人としての父の目には、最初に「管理システムの問題点」としてこの話が映るのかもしれない。

なるほど、と思った。



思ったが、それでもやっぱり今回は譲れなかったりして。


父の見方は社会で働く人間として優れているかもしれないけれど、人として優れているとは言いたくない。優れている、という表現は適切じゃないけれど。あまりにも冷た過ぎる。

モノの見方にその人の職業特有の視点が関わってくる、ということはもちろん勉強になりました。でも、それだけ。勉強になりました、で終わり。今回に関しては。あとは“人に話してみる”って、とても意義があったなぁ、ということ。納得いかないことがあったら、3人の大人に意見を聞いてみるといいかもしれませんね。


文系・理系という枠で語るのはあまりにも稚拙なのだけれど、今回は特に父とのそうした差を感じた。どっちが良いとか悪いとかじゃないけどね。アナタが【次からしっかり混雑に対応できるようなシステムを作る】のなら、僕は【「酷いお客さんですよね。大丈夫ですか、頑張ってください」と真っ先に店員の背中をポンと叩く】ような人間でいます、これからも。

ここだけはしっかり、こっそり喧嘩させてください。




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