ある夫婦のはなし。

 

妻が出産した。

夫は妻に感謝の気持ちを込めて

妻にネックレスをプレゼントした。

 

誕生日もクリスマスもプレゼントを贈らなかったそうで...

その理由は知らないが

 

そのネックレスはとてもとても高価なもの。

そしてポイントは

そのネックレスは以前から妻が欲しがっていたものだったらしい。

 

全く問題ない。

微笑ましい話。

出産に感謝をこめてプレゼントを送るなんて

素敵な思い出になるだろうし

いいじゃない。

出産は大変なものなので

良いことしたねで終わるはずだった。

 

 

もう二度とプレゼントをあげたくないと

男は言った。

 

どうしたの。

 

プレゼントをあげて2ヶ月たつのに

妻はまだ一度もネックレスをした事はない。

いやわかるよ。

子育てに忙しいし、そんな状態ではないことくらい。

でも、そこに気持ちがないのか。

そういう所が冷めちゃうんだよな。

 

 

出産して2ヶ月で

赤ちゃん抱っこしててネックレス掴んじゃうだろうし

それどころじゃないんだよ。今は。

忙しすぎて出かける事もないんじゃないの?ネックレスして。

 

 

いや、結構出かけてる(苦笑)。

こういう時つければいいのになーって思う時ある。

わかるよ、子供の事で確かに忙しいから。

でも、あげた方はつけてくれるの見せてほしいし

ああ、そういう気持ちはないんだなーって。

 

 

なんていうか。

貰った側の優しさというか

そういうのあるじゃない。

それが全くないんだなーこの子はって。

 

 

こういう話。

 

どーなの。

 

 

つまり男は相手に、喜んで早速つけてもらうのを期待して

プレゼントした。

 

 

プレゼントあげた側は

相手がそれをどう使おうと

いいんじゃないと思ったんだけど

 

そういえば私にもあった。

 

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昔。バレンタインにチョコレートをあげたんだ。

その人はゴルフをしていたので

ゴルフボールのチョコレート。

安いものだったけど、それでも考えてあちこちお店を見て

迷って迷って買った。

 

で、ありがとう♪と喜んでくれた。

そのままコンピューターのある机の上にポンと置いた。

 

それっきり1年が過ぎた。つまりまたバレンタインがきた訳だ。

それは同じ場所に置いてあり

埃かぶって

一度も手にとった事ない感じだった。

 

私の気持ちもどんどんホコリをかぶっていった。

つまり

冷めるきっかけになったのかもしれない。

 

私はこっそりそれを捨てた。

捨てた事も気が付かない様だった。

 

さみしかった。

そして自分が嫌になった。

 

 

+++++

 

 

 

その時、私は友人と同じ気持ちだった。

貰った方にも優しさがあっていいんじゃない?

 

でも今になって思うんだ。

 

何で私は埃をかぶっていく姿を見ていながら

相手を試そうとしたんだろうって。

 

いつか食べてくれるとか

期待して待ってたのか

 

私も置いてあるチョコを見ながら

ほったらかしにしていた。

 

チョコを大切に思うなら

2人の関係を大切にしたいと思うなら

「まだ食べてないの?一緒に食べよ」と

一緒に開けてその場で食べればすむ事だった。

 

私はネチネチ、机においてあるチョコを毎日見ながら

何を期待していたんだろう。

 

そういう自分が嫌になったのだ。

 

 

+++++

 

 

友人もネックレスしてよ♪とか

今日その服装にあうと思うよ。とか

今日は子供を抱っこしててあげるから、つけてみたら?とか

 

妻に言えば良かったんだろう。

 

きっと彼女は子供の事ばかりで

ネックレスをつけるという行為が

思い浮かばないのかもしれない。

 

「いや、こっちからは言わない」と意地になって友人は言うんだけどね。

妻を試したいらしい。

夫婦間でテストをしてどうすんだと思うが

 

きっとしてくれる。気がついてくれる。

やっぱり自分の事を気にしてくれてたんだよねと

思いたいんだ。

 

 

昔の私を見ている様だった。

 

 

+++++

 

 

ついでに書くと私の場合の結末はこうだ。

 

チョコを捨ててすぐ別の事で喧嘩した。

私はその時、チョコの件を「突き刺すように」言った。

 

埃だらけになってて

それを毎日毎日見てて

まるで私達の関係のようだった。

捨てた。

あなたは捨てた事も気がついてない。

今の私達とおんなじだ。

 

私はこう言い放った。

 

男は驚き、とても驚き

その時チョコの存在を初めて思い出したようで

ごめんと謝ってきた。

それまで対等の喧嘩だったのが

一気にうなだれて下を向いていた。

 

・・・・

ためてためて男はこういった。

実はチョコレートあまり好きではないんだ。

 

私は驚愕した。

ゲッソリ 笑

笑う所ではないけれど

なんだ。私こそ相手の事なんにも分かっていなかったんだな。

チョコ嫌いだって。そんな事思いもしなかった。

何年も一緒にいたのに。

 

チョコケーキやチョコアイス食べてるじゃない。

 

ああいうのは良いんだけどチョコそのものはあんまり食べない。

 

そうだったのか。。。

 

 

結局その人とは離婚した。そんなつまらない事が原因ではないが。

ほんとうに。そんな事はつまらないことなんだ。

 

 

そして今、娘は「ダディの所で美味しいチョコを食べてきた♪」と

私に報告してくれる。

ダディはチョコ食べないんじゃないの?

食べてるよ?と娘。

 

ニコ・・・・

 

私をがっかりさせないように

優しい嘘をついたのか。

 

 

 

夫婦といえど他人。

難しい。人間関係って。

全力で相手の事を考える関係は疲れるというけれど

空気みたいな存在がいいというけれど

 

全力で考えていいと思う。

だって1番大切な人のはずだから。