はじめに:Linuxを「巻き戻す」魔法のツール、Timeshiftとは?

こんにちは ! 寒くて引きこもりがちな与太郎です![]()
新しいアプリをインストールした途端、システムがフリーズ!
設定をいじったら画面が真っ白に...。
Linuxを使っていると、そんな「やっちまった!」の瞬間が時々訪れます。
そんなとき、「ああ、このトラブルが起きる前の状態に戻せたら...」と願うことがありますよね?
その願いを叶えてくれるのが、Linuxにおける「Timeshift(タイムシフト)」という神ツールです。
Timeshiftは、システムの状態を特定の時点(スナップショット)で保存し、何か問題が起きた際に、その「完璧だったあの頃」の状態へ一瞬で戻せるようにするソフトウェアです。まるでPCに「タイムマシン機能」を搭載するようなものです。
なぜこんなツールが必要なのか?
PCの世界では、設定ファイルやシステムファイルが複雑に絡み合っています。
特にLinuxでは、管理者権限(root)で実行するコマンド一つで、システム全体が不安定になるリスクがあります。
timeshiftのようなツールが必要な理由は、以下の通りです。
安全な実験環境の確保
新しいソフトウェアのテストや、上級者向けの設定変更を、「いつでも元に戻せる」という安心感のもとで行うため。
アップデート失敗からの復旧
OSや重要なパッケージのアップデート中にエラーが発生し、起動不能になった場合でも、直前の安定した状態に戻すため。
実は、Windowsにも同じ目的のツールが存在します。
それが、Windowsユーザーにはおなじみの「システムの復元 (System Restore)」です。
Timeshiftは、Linux版の「システムの復元」をさらに強力にしたものだとイメージしていただけると分かりやすいでしょう。
1. Timeshiftの歴史:バックアップツールの進化
Timeshiftは、システムファイルのみに焦点を当てた、効率的なスナップショットツールとして誕生しました。
誕生の背景と目的
Linuxディストリビューションの中には、かつてmacOSの「Time Machine」に触発されたバックアップツールがいくつか存在しましたが、それらはシステムファイルだけでなく、ユーザーデータ(写真やドキュメントなど)も含めてバックアップするのが一般的でした。
しかし、セキュリティ研究者でソフトウェア開発者であるTony George氏は、「システムの状態を安全に復元する」ことだけに特化した、軽量で高速なツールが必要だと考え、Timeshiftを開発しました。ユーザーデータは別途クラウドや外付けHDDに保存し、TimeshiftはOSの安定性維持に専念させる、という思想です。
このツールは当初から高い評価を受け、現在ではUbuntuやLinux Mintなど、多くの人気Linuxディストリビューションで標準採用されたり、推奨ツールとして利用されています。
Timeshiftが活躍する事例
Timeshiftを設定しておけば、以下のような「緊急事態」の際も焦らず対応できます。
事例1
ドライバ地獄からの脱出: グラフィックボードのドライバを最新版に更新したら、画面が映らなくなったり、解像度が異常になったりした。→スナップショットに戻して正常起動!
事例2
勇み足の設定変更: ネットで見つけた「高速化コマンド」をターミナルで実行したら、ログイン画面すら出なくなった。→コマンド実行前の安全な状態に戻して再起動!
事例3
カーネルアップデート失敗: OSの基幹部分(カーネル)をアップデートしたら、システムが立ち上がらなくなった。→起動時のブートローダーからTimeshiftを呼び出し、直前のカーネル状態へ復元!
与太郎も、何度お世話になったことやら・・・・![]()
2. Windowsにもある!「システムの復元 (System Restore)」の概要
LinuxのTimeshiftと目的を同じくするWindowsの機能が「システムの復元 (System Restore)」です。
システムの復元の目的と仕組み
「システムの復元」は、Windows OSの重要な機能で、システムファイル、レジストリ、設定などを、問題が発生する前の状態に戻すことを目的としています。
目的
ソフトウェアのインストールやドライバの更新などによってPCの動作が不安定になったり、異常が発生したりした場合に、ユーザーの個人的なファイル(写真、ドキュメントなど)には影響を与えずに、システム部分だけを以前の安定した状態に回復させます。
仕組み
Windowsは、システムの重要な変更(新しいソフトのインストール、大規模なアップデートなど)が発生する前に、自動的に「復元ポイント」と呼ばれるスナップショットを作成します。ユーザーはこの復元ポイントを選んで、システムを巻き戻すことができるのです。
TimeshiftはLinuxのファイルシステム(BtrfsやRsync)の技術を使い、Windowsの「システムの復元」はWindows独自の仕組みを使いますが、「ユーザーのファイルを保護しつつ、OSの設定やプログラムの状態を過去に戻す」という根本的な思想は全く同じです。
3. Timeshiftのインストールと使い方(簡単手順)
Timeshiftは、非常に直感的で使いやすいインターフェースを持っています。
ここでは、基本的なインストールと使用方法を簡単に紹介します。
インストール方法(Ubuntu/Mint/Zorin OSの場合)
多くのディストリビューションでは、ソフトウェアセンターからGUIでインストールできますが、ターミナルからのインストールが最も簡単かつ確実です。
$ sudo apt update
$ sudo apt install timeshift
バックアップ(スナップショット作成)の手順
①Timeshiftを起動
アプリケーションメニューから「Timeshift」を検索して起動します。
またはターミナルから以下を入力します。
$ sudo timeshift-gtk
=>メニューにも追加されるので、アイコンをクリックしても良いです。
②保存先を選択
スナップショットの保存先を選びます。安全性を高めるため、システムがインストールされているドライブとは別のドライブ(外付けHDDなど)を選択することを推奨します。
=>USBメモリでも良いですが、まれに破損することもあるため、可能であればUSBの外付けSSDがベスト
ちなみに、私は以前使っていたHDD(1TB)を使用しています(笑)
③スナップショットタイプを選択
多くのユーザーは、高速で効率的なRsyncを選択します。
④スケジュール設定
スナップショットを毎日、毎週、毎月など、自動で取る頻度を設定します。
⑤手動スナップショット作成
設定完了後、「作成」ボタンをクリックすれば、現在のシステム状態の完璧なバックアップが数分で完了します。
=>最初は時間がかかりますが、次以降は短時間で終わります。
上記を実施すると、以降は以下の同様な手順で実施できます。(任意のタイミングでのバックアップも可能)
赤い四角の「作成」クリックします。

すると、早速スナップショット(バックアップ)が始まります。

終了すると、以下の赤枠のスナップショットが出来上がります。
メモとして「コメント(クリックで編集)」をすると、何をする前のスナップショットかが分かりますので便利です。

「設定」をクリックすると以下の画面が表示されます。
これは、一番最初にスナップショットを撮ったときにも出てきます。
ここは、そのままでよいです。

次の「場所」をクリックすると、どこにスナップショットを保存するか設定ができます。
スケジュールは任意で良いかと思います。
任意のタイミングでも、スナップショットはできますので、私の設定でもよいです。
=>何かインストールしようとしたときに、その直前でスナップショットを取得していますので・・・
「ユーザー」では、スナップショットを取る範囲を決められます。
私は、通常のファイル以外に、隠しファイル(先頭に「.」がつく
名前のファイルまたはディレクトリを含む全てをスナップショットの対象として設定しています。
新規になにかインストールすると、すでにある「.名前」のファイルへ追加されたり、ディレクトリが作成されたりする場合があるために、直前の状態をスナップショットで保存しています。
※これは皆さんにおすすめです。
「フィルター」では、スナップショットを取るディレクトリを選択します。
通常は/rootと/home/ユーザー名のディレクトリでよいです。
最上位は、初期状態はこの設定になっており、変更しなくても良いです。
4. ぜひ活用していただきたい理由:4つのメリット
Timeshiftは、単に「保険」というだけでなく、日々のPC利用に多くのメリットをもたらします。
メリット1 : 怖がらずに最先端に挑戦できる「デジタル・リセットボタン」
新しいカーネルのテスト、設定ファイルの大胆な編集、ベータ版ソフトウェアのインストールなど、通常なら躊躇するような変更でも、Timeshiftがあれば安心です。「失敗したらボタン一つで戻る」という精神的な安全性が、あなたの好奇心を最大限に引き出します。
メリット2 : ウイルスやマルウェア感染時の「清潔な状態」への回復
万が一、マルウェアやスパイウェアがシステムに侵入してしまった場合、Timeshiftのスナップショットは、感染前の清潔なシステム状態への復元を可能にします。これは、感染したファイルを一つずつ探して削除するよりも、圧倒的に早く、確実な対応策となります。
メリット3:トラブル解決にかかる時間を劇的に短縮
通常、システムトラブルが発生した場合、原因を特定し、設定ファイルを元に戻し、問題を解決するまでに数時間かかることがあります。Timeshiftを使えば、「とりあえず戻す」という判断により、数分で元の快適な環境を取り戻し、貴重な時間を無駄にしません。
メリット4:PCを「クリーンインストール直後」の状態へ保つ
PCを長く使っていると、不要なファイルや設定が溜まり、動作が徐々に重くなりがちです。Timeshiftを使って数ヶ月前の安定したスナップショットに戻すことで、クリーンインストールに近い快適さを定期的に維持しやすくなります。
5. Timeshiftを使うときに予め知っていたほうが良い注意点
非常に便利なTimeshiftですが、使う上で知っておくべき注意点がいくつかあります。
これを守らないと、いざという時に困ることになります。
注意点1:ユーザーデータ(ドキュメント、写真など)は含まれない
最も重要な注意点です。Timeshiftはシステムの復元に特化しているため、/homeディレクトリ内のユーザーファイル(写真、動画、ドキュメント、ダウンロードしたデータなど)は標準設定ではバックアップされません。これらのデータは、別途Google Driveや外付けHDDなどを使ってバックアップする必要があります。
=>これは、システムスナップショットのサイズを小さく保ち、システムの復元プロセスを高速化しています。
注意点2:スナップショットの保存場所は分けて
必ず、OSがインストールされているドライブとは別の物理ドライブ(外付けHDD、別のSSDパーティションなど)にスナップショットを保存してください。OSのドライブ自体が故障したり、破損したりした場合、同じドライブに保存されたスナップショットは利用できなくなるからです。
注意点3:容量の確認
スナップショットはシステムの全ファイル(ただしユーザーデータは除く)のコピーであるため、それなりの容量を消費します。Timeshiftの「設定」で、保持するスナップショットの数を制限(例:毎週のスナップショットを3つまで、など)し、古いものを自動削除するように設定しておきましょう。
注意点4:ブートローダーの再確認
OSが起動しなくなった場合、TimeshiftはGRUBブートローダー(OS選択画面)から復元を実行できます。Timeshiftをインストールした後、一度ブートローダーにTimeshiftのオプションが追加されているか確認しておくと、非常時にスムーズに対応できます。
=>これは、頭の片隅にでも入れていただければと思います。
頻繁に使用することはないので・・・
6. まとめ
Timeshiftは、Linuxユーザーにとってまさに「デジタル世界の保険証」であり、「失敗しても大丈夫」という心理的安全性を提供する究極のツールです。
Windowsの「システムの復元」よりも強力で、使いやすく、システムの堅牢性を維持する上でこれほど頼りになるものはありません。
特に、
・Linuxを始めたばかりの初心者の方
・頻繁に新しいアプリや設定を試す好奇心旺盛な方
・システムアップデートを恐れている方
は、Timeshiftをインストールし、外付けドライブにスナップショットの自動作成を設定することを、PC設定の最優先事項として強くお勧めします。
この「タイムマシン」機能があれば、どんなトラブルも怖くありません。ぜひTimeshiftを活用して、Linuxライフを心置きなく楽しんでください!






























