香辛料が苦手な私は一味唐辛子も七味も最小限にしか使わない。唯一好きなのが山葵である。一瞬にしてツーンと鼻から頭の先に抜けるとすっきりとした快感を得る。案外マゾッ気があるのだろうかと自分を疑うこともある。
山葵に似て、少し異なったすっきり感を味わえるのが、私にはモーツァルトのオーボエ四重奏曲である。30代の頃から、考えごとをして、頭がぐちゃぐちゃになってまとまらないと、この曲を聴くことにしていた。オーボエの高音部が好きで、高音のメロディーを聞くと気のせいか頭がすっきりした。バロック時代のオーボエ曲も聴くが、モーツァルトの曲は一段高い音まで使われているような気がする。素人考えで、この頃この楽器の進歩があったのではと勘繰りしている。モーツァルトのオーボエ協奏曲も好きだが、すっきりさせてくれるのは四重奏曲の方である。すっきり感が山葵に似ていた。単にブレイクをとったのがよかっただけなのかもしれないが、頭が整理されたようで後の仕事もはかどったように思う。私にとっては、モーツァルトのオーボエ四重奏曲は頭の整理の特効薬と信じている。ただ残念なのはローター・コッホの演奏でこの曲を聞いたことがないこと。彼独特の官能的な響きでこの曲を聞けたらと独り妄想している。今の時代、通販で捜せば、LPかCDが見つかるかもしれない。
適切な写真が思いつかないので、最近撮ったアケビの写真を載せる。春と秋の爽快な日に時々、比良のふもとに出掛けて尺八を吹く。66歳の手習いで始めたもので、全く上達はしないが、せせらぎや風の音を聞きながら吹くのは下手なりに気分がよい。私が吹いている間、妻は犬を遊ばせながら、散策している。その時あちこちで見かけたのがミツバアケビの実。私も数枚カメラに収めた。
写真.ミツバアケビの実(撮影20201007).