おなじひ。 | 作家 吉井春樹 366の手紙。

おなじひ。

同じ日



そんなに毎日は、

あたらしいことはなくて、

同じような日があって

それは明日もつづいて

たぶん明後日もつづいて

そのつぎもまたつづいて。


だいたい同じ場所にいて、

だいたい同じ方へ出向いて、

だいたい同じ人とあって、

だいたい同じことをする。


同じことをするのって、

たいくつにおもえたり、

無意味に感じたりして、



はじめてのきもちを

思い返せられるなら

忘れないでいられるなら

もっと楽しいのかもしれない。


もしも最後だったなら

そう想像できたらば

もっと大切にするのかもしれない。


同じような毎日のなかで

そういう特別なきもちの変化は

なかなか訪れてくれはしないから

それでも今日も昨日と同じ一日を

そのまま過ごしていくのです。


なぜそんな一日を

過ごすのだろう、過ごせるのだろう、

そんな風に想いを馳せたら、

同じ毎日がそんなに悪いのかしらと、

心を巡らせてみたらば、

今の自分の心模様をみつめて、

その感触をつぶさに見とれたら。


同じような一日は、

たしかにあたりまえの瞬間が

規則ただしく並んでいるけど、

それは、不幸な時間ではなくて

もしかしたら、一番たいせつで、

一番ここちいい、一番のしあわせを

ちゃんと選んで生きているからこそ

同じでいつづけられるのですね。