全部すてたら、自分が残った。 | 作家 吉井春樹 366の手紙。

全部すてたら、自分が残った。




今まで、いろんなものを、

まとってきました。


かっこよくなりたいし、

すごいって思われたいし、

好きになってほしいし、

大切にされたいし

愛されたいから。


いろんなものを

重ね着して、

ほんとの自分が

どんな姿なのかって

よく見えなくなった。



でも、

愛されたいのは、

その服でもなければ、

その肩書きでもなければ

その容姿でもなかった。


愛されたかったのは

なにももたない自分。


だけどそれが怖くて

いっぱい身につけていた。

でも、

自分のまわりのいろいろを

愛してもらえたとしても

なんだかそれって

嬉しいけれど、少し悲しくもあって。



その悲しさが

どうしても怖かったので、

勇気を出して、

まとっている

いろいろなものを

ぜんぶきれいに捨ててみた。


何もないと

思っていたけれど

そこには確かに

自分だけがいて。


その何にももたない

なんの得も魅力も価値もない

自分。



そんな自分さえも

愛してくれると知ったとき、

はじめて自分で自分を

愛し始められた気がする。



ぜんぶ捨てようとしたところで

どうにもこうにも

自分だけはここにいるから。


しかも、

なにももたない自分は、

一番弱くて、

一番軽くて、

一番頼りなくて、

一番うつくしい気がした。


なにもない自分を

愛してくれたあなたを

自分の全部をかけて

愛し抜くべし。



ぜんぶ捨てたら、

自分が残った。

いえ、

ぜんぶ捨てたら、

僕とあなたが残った。



でも、

それさえあれば、

ふたりは完璧。






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