ちょっと変わったスーパーツィーター”TAKET-BATPURE”(以下、BATPURE)をホームシアター
で試してみました。
このBATPUREは既存のスピーカー、もしくはヘッドフォン等にアドオンするタイプのスーパー
ツィーターですが、再生周波数が20kHzから上というちょっと特殊なユニットです。
人間の可聴帯域を超えていますので、当然、再生しても音は全く聴こえないのですが、その
効果は驚くべきものがありました。
商品の機能や使用方法等、詳細に関しては以下メーカーサイトをご確認下さい。
http://www.taket.jp/japanese/about6/about6.html
私のシアターシステムはフロントSPにFOSTEXのホーンツィーター(FT17H)を追加し、スーパー
ツィーターとして使用していますが、効き具合を確認する為、最初はFT17Hのベゼルに面一に
BATPUREを貼り付ける形で繋げてみました。
(BATPUREは高インピーダンスの為、既存SPに並列接続してもアンプへの負担はほぼゼロです)
そもそもFT17Hを追加している時点で音の立ち上がりは格段に良くなっていますから、サラウ
ンド空間の表現はそれなりにいい状態ではあったのですが、BATPUREを取り付けた途端、
センター付近の見通しがググッと上がり、音の粒立ち、音像がクッキリと浮かび上がるようになり
ました。
最初はそのあまりの変化にただ驚くばかりで、しばらくは聴き入ってしまっていましたが、耳が
慣れてくるにつれ段々と粗も目立つようになってきました。
何というか、FT17Hの音ばかりが誇張されてしまうようで、また音像がセンター付近に妙に引っ
張られてしまう感じもあり、空間バランスが崩れてしまってるような印象を覚えました。
要はそれだけBATPUREの効果が絶大であるという証明にもなる訳ですが、ならばフロントハイト
SPのような感覚でメインSPとの距離をある程度離してみたらどうなんだろうと思いつき、今度
は天井付近(床から約2m程上)に設置してあるフロントハイトSPに貼り付けて試聴してみる事に
しました。
するとどうでしょう。
なんとも不思議な事にBATPUREを取り付けた途端、今まではフロントハイトをON(PLⅡzモード)
にしないと感じる事が出来なかった空間がフワッと現れているではありませんか!
通常、フロントハイトSPを使用しないサラウンドバックのみの7.1ch再生では、どうしてもリア廻り
だけ空間がリッチになってしまい、フロント上方の空間は寂しい感じになってしまいます。
イメージ的にはフロントSPにからリアサラウンドSPに向かって、空間が徐々に上昇してくるような
ステージングとでも言うのでしょうかね?
もっとも、自分の場合はこの空間の偏りを何とか解消出来ないものかとフロントハイトSPの
導入に踏み切った経緯があるのですが、PLⅡzモードでは今度はフロントだけがリッチになって
しまい、逆にリアの空間が薄くなってしまいます。
例えば空間表現が非常に気持ちいいDTS-HDMasterフォーマットでは包まれ感が減退してしまう
という、残念な方向に行ってしまいますが、BATPUREを導入する事により、この問題は一気に
解決してしまうと言ってもいいでしょう!
そもそもBATPUREの場合、PLⅡzのようにサラウンド成分をアルゴリズムから生成している訳で
はなく、単にフロントメインSPの音をそのまま再生(音は聴こえませんが)しているだけですから
不自然なところが全くありません。
それどころか、音全体に深みと響きが付加され、セパレーションが格段に向上しますので、サラ
ウンド空間はよりリアルで立体的になります。
前方の視界が一気に開けたような感じとなり、ヌケのいい音に変化します。
勿論、BATPUREの取り付け位置は吟味する必要がありますが、上手く調整が出来ると、効果
はホームシアターだけに留まらず、フロントSPだけで音楽CDをステレオ再生したような場合で
あっても音が立体的になり、目の前にリアルな空間が現れるようになります。
モノ自体は非常に小さく軽く、固定は両面テープで簡単に行えますし、価格もお手頃ですので
音をより良くしたい方も現状にご不満の方も是非一度お試し頂きたいと思います。
尚、BATPUREの取り付けについてはメインSPにパラレルで接続するという以外、特にここに付
けなければダメという決まりは無いようです。
私の場合、音楽CDをステレオ再生しながら位置を決めましたが、フロントSPと上下の距離を
あまり取り過ぎると返って不自然な感じになります。
離しても1mまでが限界でしょうか。
また、フロントSPよりも若干外側に置いて、フロントハイトSPにように内側に振って仰角をつけた
方がよい結果が得られました。
一応、まだ仮設の状態ですが、フロントSPとは上下方向で約90cm、左右方向で約15cm(外側)
という感じです。
ユニットは多少自分に向いているような感じですが、映画や音楽等、ソースをいろいろと替え
てみても今のところ破綻は無いようです。
この状態でBDソフトのDTS-HDMasterフォーマットを再生しますと、前後のサラウンド空間の高さ
が殆んど同じになり、フロントハイトSPの必要性を全く感じなくなります。
前方の見通しが良くなり、部屋全体がリアルな空間へと変化していく感じです。
ちなみに画像に写っている小さいSPはテレビ専用で使っているもので、シアターで使用して
いるフロントハイトSPではありません。
場所的にちょうどよかったので、テレビSPのフック穴を利用し、ホームセンターで購入した
金具にBATPUREを貼り付けています。
(仮設中につき、SPケーブルが垂れて見苦しいのはご容赦下さい)
レイアウト的に可能であれば、更に左右の壁の高いところ(フロントハイ・サイドのような感覚で)
にもう1セット設置してやると、空間表現は更にリアルになるかもしれません。
是非、皆さんもいろいろと試してみて下さい!