私はアルコール依存症と診断された。
コロナが流行り出し、長期のリモートワークと大型連休が重なり、あっという間に連続飲酒へと足を踏み入れた。
毎晩、酔いつぶれて22時には気を失うように寝てしまうのだが、早朝、4時過ぎには目を覚ます。
妻や子どもの寝ているところをすり抜け、そっと玄関を開けて、マンション階下のコンビニへストロングゼロを買いに行く。リビングで飲んでいる訳にもいかず、近所の川沿いのベンチに腰掛け、煙草を吸いながら空が明るくなるのを眺める。今日は晴れで季節もよく気持ちの良い朝なのだがやはり気分は虚ろだ。いや、酔っている。
目の前を早朝の散歩をする老人が通る。お酒はベンチの後ろに隠す。やはり後ろめたいのは当たり前だ。
家に戻ってベットに入り直す。次期に妻や子どもが仕事や学校へ行くために動き出す。生活音に交じり、妻と子どもの会話が聞こえる。玄関の鍵が閉まる音が聞こえるまで、眠ったふりを続ける。
もう本気で死んでしまいたいと考えた。川沿いから水面を見つめながら、ベランダから階下の歩道を見ながら。しかし、この季節であの川幅ならば泳げてしまうだろう、歩道に身を投げても人を巻き添えにしないタイミングを図る自信はある、しかし、マンションは団信でローンは済んでも妻や子どもが住めなくなるし、なかなか売れないかも知れない。
つまり死ねない、本当は死にたくない。
今朝、コンビニで一緒に買ったバナナを食べよう。バナナが無い。
みんなが出払った後だから堂々と外へ出る。今度は歩いて3分は掛かるコンビニでストロングゼロとバナナを買う。見かけないアルバイト店員でほっとした。
マンションへ戻ると非常階段にコンビニの袋を見つけた。今朝、私が買ったバナナとストロングゼロ。
今朝、川沿いから戻り、エレベーターに乗る前にここでタバコを吸った。記憶が抜けていた。
泣けてきた。