今回は『なにをしたら著作権侵害?』

 

 

 

このチャートの二つ目。

 

 

作った人(著作者)の個性が表れているものは著作物です。

著作者には著作物守るために、以下の権利が与えられます。

 

 

著作者だけが著作物を○できる。

著作者以外が著作物を○したら著作権侵害。

※「○」に権利の名称を入れてください。

(著作者だけが著作物を公表できる、著作者以外が著作物を公表したら著作権侵害)

 

 

【著作権の発生時期】

著作権は、創作物に個性が加わった時点で発生します。

絵画なら下書きでも、音楽ならリフでも個性があるなら著作物です。

 

【著作権の存続期間】

著作権の存続期間は、著作者の死後70年。

映画の著作物は、公表の翌年の1/1から70年。

著作者が誰かわからない著作物の存続期間は、著作物が公表されてから70年。

職務著作の存続期間は、著作物の公表後70年。

 

次回から特に重要な権利についてお話します。

ではでは~

 

©任天堂様『あつまれ どうぶつの森』

©TYPE-MOON様『Fate/hollow ataraxia』『カプセルさーばんと』

©オカジー

今回は『著作物』について。

 

 

 

これの一つ目の関門です。

 

著作権の目的は

「著作物を守って、文化を発展させること」(著作権法第1条)です。

では、そもそも著作物とはなんなのでしょう。

 

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

 

著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義されています。

わかりやすく言うと、著作物とは作った人の個性が表れているもの

作った人の個性が表れているものは全て著作物だと考えていただいてかまいません。

 

そして、著作物を作った人を著作者といいます。

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

二 著作者 著作物を創作する者をいう。

 

 

作ったものが著作物なら、著作者には著作物を守るための権利が与えられます(著作者に与えられる権利については次回以降)。

逆に、作ったものが著作物でないなら、著作権法による保護はありません。

 

 

この二つは原則著作物ではないので、覚えておいてください。

アイディアやノウハウ(表現されていないので)

ありふれた表現(個性がないので)

 

創作物が著作物かどうかの判断は、判例研究を積み重ねた専門家でも意見が分かれるところです。

ぶっちゃけ「これ、誰かの著作物かもしれないなぁ」と思ったら、九分九厘著作物です。

 

 

ここから私の考え

 

『作った人の個性が表れているもの』

なぜ著作物を法律で守る必要があるのでしょう。

 

著作者には、著作物を守るための権利が与えられます。

著作物を守るための権利には『著作者人格権』という分類が存在し(権利の内容については次回以降に掲載予定)、著作物の周辺に著作者名を載せなかったり、著作物を改変したりすると、著作者は精神的苦痛を受けると裁判官は述べています。

 

私は長い間、なぜ著作物に人格権が存在するのかわかりませんでした。

でも、たくさんのクリエイターと関わって気づいたのです。

 

クリエイターは自分の個性を使ってモノづくりやデザインをしているのだと。

自分の個性が反映されている創作物・・

つまり

 

著作物とは、著作者の分身

こう考えるようになりました。

そして、著作権はクリエイターの心を守るためにあるのだと。

 

素晴らしい法律でしょう?

 

 

もう一つ

 

写真は原則著作物です。

理由は、撮影する構図に個性があると考えられるから。

私は著作権について教えるとき、ボットのようにこの理屈を教えていました。

 

去年の春、友達のカメラマン、山本祥司くんと遊んでときに、桜の木の下で写真を撮ってもらいました。

 

©山本祥司

 

姿勢とか指示されてスマホで撮ってもらったんですけど、写真見せてもらった瞬間に思いました。

 

自分じゃ絶対にこの写真は撮れない

 

そして、私がボットのように繰り返していた言葉の意味に気づいたのです。

 

写真の構図に個性があるって、そういうことか・・・

この写真は山本くんだから撮れたんだ。

だから山本くんの著作物なんだ。

 

私がより著作権法を好きになった瞬間でした。

 

 

長くなりましたが、今回はここまで!

読んでくれた皆さま、ありがとうございます。

 

 

©任天堂様『あつまれ どうぶつの森』

©TYPE-MOON様『Fate/hollow ataraxia』『カプセルさーばんと』

©オカジー

今回は著作権法の大まかな仕組みの話です。

 

このチャートが、私が著作権侵害か考える際の思考パターンです。

 

 

他人の作品を使うとき、4つの関門があると考えてください。

 

  1. 利用する他人の作品が著作物かを考える。著作物でないなら著作権法による保護はないので、著作権侵害はありません。
  2. 著作権法が定める、著作権を侵害する使い方かを考える。著作権を侵害する使い方でないなら、著作得権侵害はありません。
  3. 権利制限規定に該当する使い方かを考える。著作権法第30条~第47条には、著作権を侵害する使い方でも、著作権侵害にならないケースが書かれており、ここに書かれている使い方なら著作権侵害になりません。
  4. 他人のHPの画像を使う場合、「こういう使い方なら著作権を主張しません」と書いてくれている場合があります。
このチャートのどこかで『著作権侵害なし』に行けたなら著作者の許可は不要ですが、『著作権侵害』に行ってしまったなら著作者の許可を貰わないと著作権侵害となります。
 
©任天堂様『あつまれ どうぶつの森』©TYPE-MOON様『Fate/hollow ataraxia』『カプセルさーばんと』
 
私が任天堂様の素晴らしいゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』で作った『おつカレンちゃーん』画像をここで公開する行為が著作権侵害かどうかを考えてみましょう。
 
  1. どうぶつの森は任天堂様の思想又は感情を創作的に表現している映画の著作物(ゲームソフトは映画の著作物に分類されます)。
  2. ゲームの画像を複製=複製権侵害、ゲームの画像をインターネット上に公開=複製権、公衆送信権侵害
  3. ゲームの画像の複製=私的利用の複製に該当するので権利侵害には当たらない。インターネット上への複製は公開のネットワーク上に上げる場合、私的利用の複製には当たらない。

    よってこの画像をインターネット上に公表することは任天堂様の複製権、公衆送信権を侵害することになります、が
  4. 任天堂様は『ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン』を公表してくださっており、「個人であるお客様は、任天堂のゲーム著作物を利用した動画や静止画等を、営利を目的としない場合に限り、投稿することができます。ただし、別途指定するシステムによるときは、投稿を収益化することができます。」と書いてくださっているので

     

     

 
『おつカレンちゃーん』画像、あつ森以外の著作物も含まれています。
・・・そう、このベイビィ
Fateに出てくるベイビィ・カレンを私があつ森で再現したものなので、TYPE-MOON様の著作権を侵害する可能性があります。
 
  1. ベイビィ・カレン(カレン・オルテンシア)という美術の著作物です(キャラクターは美術の著作物に分類されます)。
  2. ベイビィ・カレンに依拠して作ったので、同一性保持権、翻案権侵害。ベイビィ・カレンに依拠した画像をインターネット上に公開する行為は複製権、公衆送信権侵害に該当する。
  3. 翻案については私的利用目的ならOKです。

    よってこの画像をインターネット上に公開することば、TYPE-MOON様の同一性保持権、複製、公衆送信権侵害を侵害することになります。が、
  4. TYPE-MOON様も『著作権について』というガイドラインを公表してくださっており、「また、TYPE-MOON作品の画像等を参考に新たに描き起こされたイラストなどの使用については問題ありません。なお、ご自身で描き起こされたものであっても、トレースしたものは禁止します。」と書いてくださっているので

     

     

 

となります。

次回は『著作物について』
 
 

著作権の仕組みを考える前に、そもそもなぜ著作権という制度が存在するのでしょう。

 

法律の存在意義については、第1条に書かれています。

 

著作権法第1条(目的)

この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

 

条文には「著作権は、文化を発展させるためにあるんだよ」と書かれています。

 

ここからは、私が判例研究を繰り返した結果たどり着いた独自の考え。

『著作物を作るのは大変!

だから、著作物は、作った人に独占させてあげよう』

『著作権法は、ガンバった人のガンバリを守る法律です!』

 

素晴らしいでしょう?
 

そして

『著作権法の専門家としてクリエイターの創作活動をサポートする』

これが私の法律家としての信念。

 

では、そもそも

どうやって著作物を守るのか

著作物とはなんなのか

 

については、また次回。

 

おつカレンちゃーん!