リリー・フランキー主演

坪田義史監督作品

シェル・コレクター

　を観て来ました。

単館系公開枠に相応しい

観る人を選ぶ

何だかよく分からないのだけれど

何か惹かれるモノを多く含んだ

摩訶不思議なアート系作品。

近未来？を舞台にして

沖縄の離島で暮らす

盲目の貝類学者と彼に関わる人々が織り成す

排他的な異空間をジワジワと感じさせる映画になっています。

海辺の砂浜に横たわる

シェルターの様な住居に住み

ひたすら貝を捕獲して貝殻をコレクションして行く

盲目の貝類学者に

リリー・フランキーさんがピタリとハマります。

ズル賢く威圧的な役柄が多いリリーさんには珍しく

内向的で弱い感じのキャラクターが新鮮です。

戦争後なのか災害後なのかは不明確ながら

明らかに終末感を滲ませる世界を背景に

流れ着いた謎の女

奇病に冒された少女

疎遠だった宗教色の強い息子など

関わると危険度が高い人々と

貝類学者との触れ合いを軸に歪な人間模様を綴っていきます。

毒には毒で制す

その普遍的なテーマが常にあるのは何となく感じるのですが、

結局のところ何が言いたいのかよく分かりません。

しかし、度々挿入される幻想的な海中シーンの深い青や

ミニシアター系作品とは思えない

寺島しのぶさん、橋本愛さん、池松壮亮さんと云う

濃い共演陣が脇を固める事による魅惑的な説得力が、

ありがちなアート系映画の独りよがりな部分を払拭しています。

間違いなく万人受けしない作品ですが、

何か後ろ髪を引かれる余韻を残す作品です。

これをもし１０年前に観ていたら

散々な感想を書いていたと思います。

長年映画を観て来てやっと

この手の作品にも

寛容な想いを抱ける様になって来たと云う事なのでしょう。

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