とんぼが赤や茶色の秋冬物に衣替え。
セミが “ ミンミーン ” から “ リンリーン ” に
鳴き声を変える。
そんな季節。
仕事を早く終えた彼は、江戸の町を徘徊。
いつもの様に帽子やサングラスを装着し。
『あ!あの人!』
『ホラ、見て!』
等、町中で妙に指をさされる彼。
知らぬ間に有名になっていたのか…。
浮かれ気分でトイレに入る彼。
用を足し、鏡の前へ。
!!??
絶句の彼。
鏡には、サングラスのレンズが片方取れた
おかしな姿のヒゲの男が映っていた。
いつ取れたのだ…?
最初からか…?
自問自答の彼。
その前に何故気付かなかったのか?
鏡の中の男は、嘲笑っているかの様だった。
死にたいくらいに憧れた
東京のバカヤローが
知らん顔して黙ったまま
突っ立ってる