過日、彼は地下鉄に揺られながら困惑していた。

 

地下鉄の扉付近に立つ彼。

しかし困り顔。何を困っているのかと思い、彼の視線の先に眼をやる。

其処には乳母車が。

乳母車上の赤子のつぶらな瞳は、何故か彼に釘付け。

取り敢えず視線を外す彼。

数分後、赤子に視線を戻すとまだ彼を見ている。

しかし、赤子は笑うでもなく無表情。

彼の何に興味を持っているのか…?

 

何処ぞの不良達なら、『何メンチきってんねん!』的に怒鳴る程の熱視線。

 

そんなコトを考えている間も赤子の視線は動くコトは無かった。

困り果てた彼は、一大決心し、柄にもなくその赤子に微笑みかけた。

 

赤子、号泣。

 

…。

 

『どうしたん?何があったん?』と、うろたえる赤子の母。

 

赤子の無表情が砕けると同時に、彼のハートも砕け散った…。

嗚呼、ガラスの三十代…。

 

そっと、その場を離れる彼の後姿が物悲しい。

 

 

彼は、その足でHEPに向かって行った。

独りで観覧車にでも乗るのかと思いきや、8階へ。

其処では【ヤバクテン】なる催しが開かれていた。野性爆弾の展覧会である。

その日は上田誠氏(ヨーロッパ企画)とのイベントも上演されていた。

一見両極端の2組は、とてもイイ感じに絡み合っていて面白かった。

 

場内には、数々の似顔絵(彼の似顔絵も御座いました)やコントの小道具が。

正にアート。

 

12日まで展覧されてるそうなので、興味の有る方は是非足をお運び下さい。