過日彼は、野暮用の為母親と会った、とか。

彼は仕事の合間だった為、難波まで呼び出したようだ。

以前母親がよく利用していたという、喫茶店で待ち合わせ。

が、既に其処は銀行と変わっていた。

一応、コーヒーを頼んでみるもやはり出て来ず…。

で、場所を代え近くの喫茶店へ移動する二人。

 

以前数秒間だけ再会した二人だが、落ち着いて話すのは10年以上ぶりだ、とか。

気まずい雰囲気の中、母親が『これ、駅で配ってたからあげる』…とジュースを。

「こんな物、駅で配ってるのを見たコトがない…」などと思いながらも

母の厚意を素直に受け取る彼。

 

用事を済ませた彼はこの10年間の家庭の様子を聞く。

兄貴に子供が3人いるコト。

その兄貴が痩せて禿げてきているコト。

親父の仕事がタクシーの運転手に変わっているコト。などなど…。

 

あと『あんたらテレビで元気がない!』

『オリエンタルラジオみたいにいっぱい動き!』

『髭が汚い!』…とも。

 

そんな空気の中仕事の時間に…。

会計を済ませて外へ出る二人。

『あんたに奢ってもらったん初めてやな』と感動する母。

「なにをコーヒーぐらいで!」と二人は別れる…。

 

10年ぶりというコトは人生の1/3は一緒に居なかったコトになる。

しかし、残りの2/3も学校、遊び、就寝等で総て一緒に過ごした訳でもない…。

「何とも酷い息子だ…。」と嘆きながら何気に振り向く彼。

 

其処には彼に向かって、小さな体で大きく手を振る母の姿が…。

 

軽く頭を下げる彼。

 

向き直す彼に向かって今度は、コンビニの店員が彼に手を振っている。

近付いてみると店のガラスを拭いてるだけだった、とさ…。

 

 

ONE PIECE  41  購入