今日、彼はりんくうイオンでの余興とうめだ花月での出番があった。

しかし、どちらの仕事も2回公演の為、りんくうに行って梅田、そしてりんくうへ戻り再び梅田と、

可也の強行スケジュールだったとか…。

 

早朝に集合しりんくうに向かう彼等。

お弁当を食し、1回目の舞台へ。

沢山のお客さんが来て下さり無事終了。

御満悦で楽屋に戻ろうとする彼。

と、その時、彼の肩を誰かが叩く。

徐に振り向く彼。

そこには初老の女性が一人。

 

「?」

 

何なんだ、この人は…?しかし、どこか懐かしい感じ…。

 

『元気でやってるか?』と、その女性。

 

「!!??」

 

その声に吃驚。

…母親だ。実家が岸和田のため、観に来たようだ。

 

「おぉ!!」と、彼。

 

『元気か?』と、再び声をかけてきた。

 

「まぁ…」

 

10年ぶりの再会の為、会話に困る。

暫しの沈黙。

そこへスタッフが彼を呼びに来る。

 

「ほな、行くわ…。」

 

『身体に気付けてな』

 

楽屋に戻り、梅田に向かう彼。

そして梅田の出番を終え、再びりんくうへ。

しかし、もう其処には彼女の姿は無かった…。

 

10年ぶりの10秒程の再会。

直ぐに気付かなかった事を悔やむ彼。

「10年であんなに小さく、そして皺くちゃになるとは…」

今度会う時には直ぐに気付いてあげたい、そう誓う彼であった。

 

そんな事を考えながら梅田に向かうタクシーの中、ふと横で眠るギブソン氏の顔に目をやる。

 

「寝顔も気持ちが悪い…。」