こんにちは、DOです。本格的に春が近づいてきて、いよいよ年度末になりました。出会いと別れがあるこの時期、寂しかったり、楽しみだったり、いろんな感情が出てきますが、仕事も私生活も油断せず、きちんと年度を締めくくりたいと思う今日この頃です。

 

さて、先日協会発足以来、おそらく“初”だろう「オンライン研修」を開催しました。オンラインが「初」という意味だけでなく、今年度に入って「初」の研修開催となり、実現に至るまで教育研修部長を中心に理事会で何度も話し合い、また、会員の方々には研修に関するアンケート(希望する内容やオンライン環境に関すること等)にもご協力いただきました。この場をお借りして改めて感謝申し上げます。

 

注目のテーマは「新型コロナウイルス感染症の対応の実際」と題して、実際にコロナウイルス感染が発生した医療機関の感染管理認定看護師とMSWの方々を講師にお招きにして、「その時に現場では何が起こっていたのか」「何を感じ、何を残し、伝えていきたいのか」など、生の声を発信していただきました。

聞けそうで聞けない貴重なお話。組織内部のことを公表することになるため、様々な思いがあったかと思いますが、快くお引き受けいただき、赤裸々にお話くださいました。そしてそこには想像を超える不安、悩み、葛藤がありました。

まず、認定看護師さんからは、感染経路の整理・推定の難しさ、統一された予防のための行動規範を徹底することの限界、可及的速やかに対応しなければならないゾーニング(感染症患者の入院病棟において、病原体によって汚染されている区域 (汚染区域)と汚染されていない区域(清潔区域)を区分けすること)、保健所の立ち入り調査への対応、患者・家族、関係者へ果たさなければならない説明責任、毎日押し寄せてくる電話応対、全く関係ないだろう人へ波及した漠然とした不安への対応など、ここでは書き表せないほどの内容でした。それでもきっと内容は実際の現場のほんの一部であったと思います。

そのあとMSWの方からは、何も力になれない無力感、主要業務でもある退院支援を通じて感じる疎外感・孤独感(誤った情報・知識による過剰な関わりの拒絶など)、いつまで続くか分からない漠然とした不安感などのお話があり、こちらに関しては同専門職だからこそ、発言の一つ一つがより身近に感じることができました。

 

私自身を振り返ってみると、この一年の報道などから「権利とは何だろう」「差別的な扱いが辛い」と考えることが多くありました。その一方で何かあったら…という言葉に表すことができない不安から、安心・安全を最優先にすることも多く、きっと自分も過剰な不安から感染疑いの有無に関わらず、勝手にラベリングして疎外したり、拒絶したりしていたように反省させられました。それがダメだと分かっていても無意識にそのような行動をしていたり、分からないことを分からないまま、根拠のない言動をしていたりしていたように思います。また、明日は我が身かも…と思いながらもきちんと備えることができているかと聞かれると実際できていないことも改めて痛感させられました。

 

しかし、お二人の講師の内容はネガティブなものだけではありませんでした。前を向いて、未来に観ているようでした。また、強さのようなものをすごく感じました。体感したからこそ感じる本当に恐れなければならないこと、正しい知識を持つことや現場の実際を記録に残し、再発を防ぐこと(風化させないこと)の大切さ。そして、個人や一部署ではなく組織全体として対応し、組織の一員として参画して、どんなに小さなことでもできることを積極的に模索していく姿勢が大事ということ等、経験をもとに学んだことが沢山あったようでした。体験者としての言葉の重みを感じることができた本当に貴重な時間でした。

 

そして最後に一番心に残っているのは「些細な声掛けに心が救われる」という言葉でした。

「大変な時に電話するのは返って迷惑かもしれない」「どんな言葉がかけられるだろう」と、私も私の周囲も躊躇する方が多かった中、これは個人差があるかもしれませんが、「是非声かけてくれたら嬉しい」と話してくださいました。こんな時だからこそ改めて繋がりを大切にしていきたいと思います。自分のできることを精一杯していきたいものです。

 

DO