今日は、「失敗が多いほど記憶は強化される」です。(第86号)
人間の脳はあまりに高度なために研究に適当でないことがあるそうです。
人間の脳はもとをたどれば、より下等な動物の脳に原型があるといえます。
動物の記憶をじっくりと観察すると、
「記憶の本質」がよく見えてくるということになります。
サルを使った学習実験のお話です。
サルはグレープフルーツジュースが大好きです。
何も映っていないテレビの画面をサルに見せます。
画面の脇にボタンがあり、画面が赤く点灯したときにボタンを押すと、
好物のグレープフルーツジュースが手に入るようになっています。
最初は偶然ですが、何回か続くと
「ボタンを押すこと」と「ジュースをもらえること」の因果関係に気づきます。
これが学習の第一段階です。
サルはこの段階に達するとジュースほしさにひたすらボタンを押します。
しかし必ずしもジュースにありつけるわかではありません。
画面に何も点灯しないとジュースは出てこないからです。
何度か失敗を繰り返すうちに、ようやくこの事実に気が付きます。
画面点灯とボタンの関係を理解して、サルの学習が完成します。
何百回という試行錯誤を繰り返して、この課題を記憶するのです。
サルは装置の前で、数多くの失敗をします。
さまざまな失敗をして、その結果、画面点灯とボタンの関係に気づくのです。
失敗がなければ成功を導き出すことはできません。
記憶は失敗と繰り返しによって形成され、強化されるものなのです。
失敗が多いほど、記憶はより正確になります。
これは、もちろん人間もいっしょで、
失敗を繰り返すことで学習効果は上がるということです。
この話はとても貴重で重要です。
何でもトライを繰り返すことの重要さを感じます。
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編集後記
北朝鮮の金正日が亡くなりました。
危険な国家の指導者がいなくなり、今後の動向が注目されます。
内部で権力闘争が起きるのか、それとも後継者が踏みとどまるか、
食糧危機など経済の建て直しが急務です。
人道的な支援は必要ですが、
日本は拉致問題の解決への道のりも途上であり、
6カ国協議の再開などを含めた外交が重要です。
金正日がいなくなったことがきっかけで、
民主的な国家に変わることを望みます。