ゆるゆると湯船につかっていると

ピー蕎麦屋がやってきた


独特の節回しで

短調のラッパで


夜泣きそばというのは後から知った名前で

実家の母はいつも『ピー蕎麦屋』と


風呂のデジタル時計を見ると、22:22

近く

遠く

また近く

団地の中を回っている


こんな時間に
半纏でもひっかけて
白い息を吐き出し呑み込み食べるラーメンは


どんな味だろう

背徳の



風呂の中で想像する店主は

999の車掌


一度食べてみたい

でもこわい

山の中の団地のピー蕎麦屋



今夜はカレーでまんぷくですよ

また今度






でも本当に久しぶりに聞いたなぁ
独特の、普通のチャルメラより半音下がって不気味さを増したメロディ

どうしよう、マボロシだったら

恐怖新聞的な

一杯食べるたびに寿命がちぢまる

ま、たしかに

医的にそうでしょうよ


さ、本読んで寝よう

今日は久々の翻訳こんにゃく

はじめましてポール・オースター



足の間に黒毛玉入り込んでます