先日、ヨシ子さんのお家に顔を出した
古くからのお客様で、番頭さんから引き継がせていただいた方
結婚も出産もされずに、お一人で会社を経営
六十代で大病されて引退、ずっと一人暮らしのヨシ子さんも、いよいよ八十となり記憶が怪しくなってきた
『ヨーグルト食べなさい』
『さっきいただきました』
『うそぉ、出してないわよ』
が5~6回も繰り返される
お客様宅ではマスクを取りたくないので、せっかくですが遠慮いたします、とお断りしたあとでの押し問答のうえでいただいたのだ
あまり否定するのもいかがなものかと思うので
『ではいただいて帰りますね』
『食べなさいよ』
『お腹いっぱいになっちゃうから』
『こんなもので!?』
そうこうしているうちにも
氷がたくさん入ったグラスにスティックの青汁を作ってくださったのだが
飲まずにいると
どんどん青汁が足される
スティックを切って
サラサラ、サラサラ
かきまぜて
ドロドロ、ドロドロ
サラサラ、サラサラ、ドロドロ、ドロドロ
このままでは
えらいもんを飲むことになる
えいっ、と飲む
うーーーん、青汁
のちに腹をこわす
お金のこととか、ハキハキした話し方とか
すごくしっかりされているのだが
不安である
決してマンツーではお会いしないようにしている
必ず、唯一の身内の甥子さんと連絡を取り合って伺うのだ
お互い信頼関係はあるが、突然何がどうなるかはわからない
ワタシの仕事はつねに万が一を考えて進める仕事です
気にしすぎではない、万が一は起こるんですよ
一万回に一回は
ちなみにヨーグルトに添えられたスプーンは、青汁をかきまぜた、うっすら緑のスプーン
たぶん、龍角散についてくるやつです