まあ

元々へんな大家だとは思っていたさ




仕事の海に溺れながら

ポツポツとすすめた引っ越し



冷蔵庫はまだ全然キレイだな

でも新居にはサイズが無理

ガス乾燥機バリ現役

でもプロパンから都市ガスに切り替えないと

ダクト引き込めんな

そしたら

「全部置いていけばいいんじゃない?次の人使えるし」

あ、そうですか?

てことでよりキレイに磨いて

さあ月曜日引き渡しの日

昼休みに立ち会う予定

午前中不動産屋から電話で

「冷蔵庫も乾燥機もいらないって。カラにして返してくれって。たい子ちゃん、今から今日中にできる?」




ホラきた

おいでなすった

マジか



「そんな、軽トラだってないし人手だって…」



しかし悔しいじゃないか




パンプスでガソリンスタンドに飛び込み

「ねぇ!軽トラ貸してくれる!?」

「あいよ!」




洗濯機を捨てにきてくれる電気屋くんと手伝いにきてた次男に連絡し、スニーカーに履き替えて

カラにしましたよ



障子の張り替えセットも、吹き抜け天井用の長ーいシュロボウキも高い壁に取り付けた鳩時計も

この山小屋のためにだけに存在するものは残してあったのだが



電気屋くんが

「残しちゃダメですよ!また何言ってくるかわかんないよ!」

と怒るのでそりゃそうだと



アタシはこの山小屋が好きだった

鳩時計とシュロボウキは必需品だった

ごめんなさい、山小屋

今までありがとう

もう二度と来ないんだな

夫の元から逃げるように出てきて10年

ドビンボーな親子を包んでくれました









このアボカドは連れてきた