エジプトに行ってきました








私はなんだか怖いので、散歩しながら待っていようと思ったのですが、せっかくなので勇気を出し



だって、申し訳ないような



3000年も前の現代人よりはるかに強いあんなことやこんなことを飲み込んで生きてた方たちが

祈ったり呪ったり願ったり恨んだりしながら墓深くに埋め込んだものたちを掘り返しひっくり返し

こんな地球の果ての国、田舎の田んぼの中で

しかも来る前、幸楽苑で餃子食ってきたし



申し訳ございません、失礼いたします、ちょっと拝見させていただきますと




ビクビクしながら入ったけど、案外大丈夫

と、壁に沿って進み

次のブースの説明を読んでるときから

ゴゴゴゴゴゴーっという、なんか、もう、後ろから圧迫されるというか

頭がキーンと痛くなって

恐る恐る振り向いたら

ファラオのでーーっかい頭

ああ、すみませんすみませんすみません

その奥には、棺

美しい美しい、棺

もう、ちょっと入って行けない




そのあとはフラフラで

出てきたらくたびれ果てて

ベンチにぼーーっと座り込み

前に郵便局でもらった飴玉がバッグに入ってたので

カリカリしながら次男を待ちました




連休で最終日前日だったこともあり、けっこうな混雑のショップに寄ると、エジプトの怪しげな土産物がいい値段で置いてあって
観光客ぽいじいさんが二人

「ああ、こらぁ何だったっけな」
「すかー、すかー…」

(スカラベだ、おやじよ)

「すかー……まぁ、あれだ、フンコロガシだんべ」

(うん、まちがってはいない)




庭に出てベンチで寝転がり、たくさんのことを想った







空が青いなぁ

スズカケは青空が似合うなぁ

葉っぱのときも実のときも枯れてるときも






お誕生日に買った靴





たくさん歩くつもりで履いてきた五本指ソックス





猫タワーのカゴからはみ出してるふう子のにくきう




あたしの暮らしを、3000年後の誰かが見ることがあるかしら




一瞬




泣いても笑っても一瞬、まばたき




ファラオ

あなたの存在を見てます

3000年後の見知らぬ国で

これは永遠の魂ですか

神になれたってことですか

あなたの望みは、かなったんですか




すげーなー