真冬だというのにちょっと暖かな土曜日の早い夕方、線路沿いの坂道を、自転車の女の子がスピードにのって降りてきた



広い道に出るのに、車に注意を払ったのか私の方をチラと見た



さらさらの黒い髪、お風呂上がりのように上気した顔



まるで渦潮に巻き込まれるように中学生の自分にかえる。



あの頃の私、土手を走る私。





あああ、オンナノコに戻りたいなあ



考えていたことは、もっと狭くてもっと広かった



お母さんの作ったご飯を食べていた、何も考えず



心の中で反発して馬鹿にしてた、親も姉たちも周り中を



そして親の家に住んでた、何も何も考えずに



たぶん中二だろうかなぁ、横道にそれだしたのは



勉強も何もせずに本を読んで読んで読んで中原中也ランボーヴェルレーヌ高橋新吉、ダダイズムってなんだなんだ
止めてくれる人も方向修正してくれる人も参考になる人もいなかったし大人なんて何も考えてないと思ってた




国語の先生になりたかったんだ、中学校の



行きたい私立の高校があって



電車通学は不良になるというワケのわからん理由で反対されて



驚くほど成績がさがって



東京行って新聞奨学生になって新聞屋の二階で暮らしてやると真面目に考えてた
そして詩人になり肺病病みか神経衰弱で死ぬ




結局、好きだった国語の先生に「お前はあの高校に行くって決まってんだよ、人生が!」と言われてビックリしたんだ、そんで地元の高校に行ったんだ、あっさりレールに乗っかったんだそこまでは




姉たち全員が行った、地元の女子校



受験勉強をろくにしなかったから受かる訳ないと思ってた



受かってしまった時、心底怖かった



こんなろくでもないヤツがなんの挫折も味わうことなく受かってしまったら、その後の人生が悪い方向に行くにきまってるじゃないか
順風満帆なんてありえないんだ
私はここで挫折しなけりゃいけなかったんだ

本気でそう思った

怖かった






はい、楽しい高校生活でした



ヘラヘラと部活にバイトに学校行事にバンドまでやって全身どっぷりエンジョイハイスクールライフ
受験の後の危機感なんて、屁をしたんと同じ
自由な校風、私ひとりバカ




それが、今につながってんのよ
ちゃんと勉強してなればよかったのよ、国語の先生に



いろんなこと勘違いしてワカゲのイタりが今にイタり



苦労してまっせー






中二、中二に戻ればまっさらになれる
中二がターニングポイント





あああ、やばい



今、次男が中二



母ちゃん、静かにしとこう






おろかなおろかな道を歩んできましたが



息子たちが独り立ちしたら仏門にでも入ることにして



静かに余生をおくりたいものです




その頃には、すこーし女の子に戻ってるといいな















Android携帯からの投稿