友の裏切りに遭い、仕事にも生きがいを見いだせなかった頃、今の夫と出逢った。
なんとも不思議な出会いだったが、初めて会った日に、この人にならついていける!!と確信した。
まったく根拠はなかったけれど。
夫は私とは正反対の性格で、何にでも前向き・ポジティブ人間。
私の心も少しずつではあるが癒された。
出逢ってそう時間が経たないうちに、結婚を意識した。
しかし私の周辺で、この結婚を手放しで喜んでくれる人は皆無だった。
家族はもちろん、昔からの友人も、職場の同僚・上司も。
嫁ぐ場所は今まで全く縁の無かった土地だ。
しかも夫とは、出会って数回で結婚を決めてしまった。
私が鬱状態であったこともあり、そんな状態で決めた結婚に賛成する人なんていないだろう。
今の私が当時の私に出逢っても、やはり結婚には反対しただろう。
現実逃避のために結婚に逃げた・・・誰もがそう思ったに違いない。
そして、実際は本当に現実逃避のために選んだ手段だったのかもしれない。
夫の家族に初めて会った日、「温かい家庭」をとても羨ましく思った。
私が今まで味わったことのない、一家団欒が羨ましかった。
1日も早く<冷え切った>実家を離れ、職場を離れ、夫の家に行きたいと思った。
出逢いから1年経たないうちに、私は仕事を辞めた。
裏切った友と、和解をしないまま職場を離れた。
そして、結婚・・・してしまった。
結婚式当日、上司から
「あなたから結婚するって聞いた時、本当に反対だった。でもご主人になる人とお話をして、この人になら任せられると思う」
と言われた。
その言葉は、何よりも嬉しかった。
やっぱり私の選択は間違っていなかったかも。
まだ確信はなかったけれど…
新しい土地での、手探りの生活が始まった。
気がついたら、薬を飲まなくても毎日ぐっすり眠れるようになっていた。
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