あなたが居たから今がある。

箱推しの私でも、特に推しの選手は何人かいる。
ただ、今まで退団に対して涙を流すことはなかった。シャビエルを除いて。

今のグランパスは彼が居たからある。
そして、今のグランパスに彼の居場所はない。
選手としての活躍を考えれば移籍という選択は納得する。
ただ、好きな選手が、レジェンドが移籍するということは受け入れ難い。
もっと一緒に戦いたかった。


昇格へ黄色信号が灯った2017年7月、名古屋に魔法使いが現れた。
来日後すぐ先発。
サポーターは一瞬で虜になった。
「やばい助っ人外人がいる」とJ1界隈で話題になる程に、格の違いを見せつけた。

彼単体での能力は勿論、相乗効果で周りも活性化する。
黒子のバスケあんま知らんけど、たぶん赤司みたいな感じ。

2017年 昇格
2018年 奇跡の残留
2019年 残留
これは決して暗黒時代ではない。
私たちが歩んできた道であり、今の下地になっている。


風間体制からマッシモ体制になり、彼の立ち位置に変化が起きる。

超攻撃的 守りは個々で頑張れの風間体制では、多くの選手がシャビエルの前を駆け抜けていく。
彼にとっては選択肢が無数にあった。
魔法の掛け放題だ。

マッシモ体制になり、完全に考えが逆転した。
守備時は約束事を守り、ゴールに鍵をかける。攻撃は個々で頑張れ(そこまで投げやりではない)。
彼の前を走る選手がほとんどいなかった。
魔法の使い所が限られた。

2020年 リーグ3位、ACL出場権獲得
2021年 リーグ5位、ルヴァン制覇、ACLベスト8、天皇杯ベスト16
ここ数年を振り返っても最高のシーズンだった。

 

ただ、シャビエルの定位置はベンチにあった。

私も含め多くのサポーターが毎試合、ピッチに立つその瞬間を待っていただろう。

 

 

退団セレモニーでは在籍5シーズンでの思い出を語った。

彼の中で1番はJ2昇格だった。

私の中でもここ5年で1番の思い出はあの瞬間だ。

 

J2に落ち、チームの半数以上が入れ替わった。

まさに寄せ集めのチーム。

あの時、選手たちに頂いた感情は来てくれてありがとうの一言だった。

 

今のチームにJ2時代を知る選手は、武田、宮原、渋谷の3選手になった。

J屈指の実力者、日本代表経験者、各国代表経験者。

グランパスの選手層は厚いが、J2を共に戦った選手はやはり思い入れが違う。

 

シャビエルの退団でまた1人、J2時代を知る者が減った。

寂しさの方が大きいが、今後の活躍を心から応援している。

それはあのシーズンを戦った選手全員に言えることだ。

 

魔法使いシャビエル。

あなたと数々の喜びを分かち合えたのは綺麗な思い出になるだろう。