今回鑑賞したのは1955年公開の大映映画「新平家物語」。
巨匠・溝口健二監督の演出による、市川雷蔵さん主演の作品だ。
実は溝口健二監督の作品を観るのは、僕にとって初めて。
モノクロ〜カラー初期に数々の歴史的名作を生み出したとのことだけど、
どんなところが巨匠なのか?プレーヤーのボタンを押した。
度肝を抜かれたのは、雷蔵さんの迫力よりもモブシーン。
京の都の市場が現されているんだけど、百人を超えるエキストラの数。
時代劇だから、当然全員それ相応の衣装をつけている。
これだけの規模の撮影を行えたのは、当時の大映京都撮影所の底力と
溝口健二監督の力技になるのかな?
肝心の雷蔵さんは、平清盛役。
晩年の、源頼朝を脅かすジジイの印象が強いんだけど、
若い頃はこんな感じで「これからは武士の時代だ!」と
息巻いていたのね。
クライマックスは、比叡山延暦寺の僧侶部隊と相対し、
まさに「お前らの時代じゃない!」とばかりに矢を放つシーン。
胸がスカッとして、さあこれから…というところで、本作は終わってしまう。
この後、続編が作られたようだけど、時代がかなり飛んでいるようで、
この続きをもう少し見たかったなぁ…という感じ。
早坂文雄さんと佐藤勝さんの師弟コンビが音楽を担当しているのも印象的だ。
この年に早坂文雄さんは亡くなっており、佐藤勝さんが総仕上げしたのかな?
大映映画の音楽はマスターテープが現存しないものが多いと聞いているけど、
この音楽だけ聴く機会はあるだろうか?