夫が久々に福岡に出張しました。悪天候で「あー遺言を書いておけば良かった」と思うほど飛行機が揺れたそうです。お土産に石村萬盛堂の「鶴乃子」を頼みました。
 これは私の母方の祖父が良くお土産に買って来てくれたお菓子です。マシュマロの中に黄味が入っている、今と違って美味しいお菓子の少ない当時としては、素晴らしく美味しいお菓子でした。
 祖父は薩摩藩の流れを汲む人で、天覧試合の審判をするほどの剣道の達人?でした。剣道7段でしたが亡くなってから8段になって、市長葬をしていただきました。
 原爆投下の日、警察学校で剣道の指導をしていた時に被爆しましたが、体に200ヶ所もガラスの破片が刺さったものの、九死に一生を得70歳過ぎまで生きました。生活は質素で古武士のような人でしたが、東京へ出張すると母には黄色地にバラの花の付いたシルクのスカーフを、私達姉妹にもそれぞれに洒落たスカーフをお土産に買って来てくれるような祖父でした。
 夫が両親にも「鶴乃子」を買って来てくれましたが、母が「とうちゃまがお土産に良く買って来てくれたお菓子で懐かしかった~」と言いました。お父様でもなくお父さんでもなく「とうちゃま」と言う母の横顔に少女のような笑みが見えました。きっと亡くなった祖父の事を思い出したのでしょう。早朝に板張りの部屋で書道を厳しく教えてくれたそうです。そのお陰で母はお習字ではたくさんの賞を貰い、今もとても達筆です。祖父の母に残した何よりの財産です。大きくて男らしい、そんな祖父のことを思い出させたお菓子でした。★

*石村萬盛堂は明治38年に日本演劇の祖、川上音二郎の生家に創業された100年以上の歴史のある博多のお菓子屋さんです。
ザ★教育ママ-主婦に戻った英会話講師のアレコレ

*ふんわりとした卵形のマシュマロの中に黄味が入っていて子供たちも大好きです。
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