私は中学生くらいの時に三浦綾子さんの『氷点』を夢中になって読んだ以外、新聞の連載小説を読んだことがありません。色々話題になっても少しずつしか読めないもどかしさで最初読み始めてもすぐ読まなくなってしまいます。だから『悪人』が朝日新聞の連載だったことも知っていたような知らないような…。
 本屋で手にとって見たら著者の吉田修一さんは長崎県人、そして九州が舞台…と言うことですぐ読んで見ようと思いました。現代の世相をよく表しているのと、複雑な人間関係と心境、行き届いた土地や環境の描写で光景が目に浮かぶようです。とても読みやすくて飽きることなく読み進めています。
 映画化が決まっている(9月11日公開)本は読まない主義でしたが、私にとって主役の二人(妻夫木聡・深津絵里)はそんなにインパクトがなく、小説を読んでいても彼らの顔が思い浮かぶことはありません。ただただ小説にのめりこんでいます。
 映画の脚本は『フラガール』の李相日監督と吉田修一さんの共同作業で完成までに一年もかかったそうです。あの面白かった映画『フラガール』を作った李監督がこの重いテーマの作品をどう映画化したのか、映画と小説では視点の取り方が違うそうなのでどう変化するのか…とても楽しみにしています。邦画は余り見ませんが洋画がイマイチ元気がない今、『ノルウェイの森』『悪人』は、外せない気がしています。★