私が20数年前に英語教室を開こうと思った時に、最初ある大手の会社を受けて講師になりました。講師を大切にすることと、カリキュラムがきちんとしていることが良いと思いました。
 その時の研修を担当した40代の女性に「あなたは女優になれますか?」と聞かれました。女優?まあ憧れの職業の一つではあったけど…(笑)。彼女が言いたかったのは一歩教室に入ったら「良い講師を演じなさい」と言うことでした。プライベートでどんなことがあってもそれを顔に出さない、苦手だな…と思うような生徒や保護者が来ても笑顔で迎える,子供たちの全てを暖かい気持ちで受け容れる…多分そんなことを言いたかったのだと思います。
 色んなお話を聞きましたが、彼女のこの言葉だけがいつも心にありました。子供たちに英語を教える…その方法はいろいろあって、技術的なことは何も難しくはないと思います。ただいつも平常心で、子供たちにも保護者にも平等な気持ちで接するというのはとても難しいことだと、経験を通しても思います。
 お教室にはいろいろな生徒さんが来ます。そのひとりひとりの性格を知って、うまく英語を好きになって貰うために私たち講師は最大限の努力を払わなくてはなりません。
 3-4年たって会社に講師養成を頼まれて、教室を持ちながら講師養成の研修などをしていました。その時に技術的なことも大切ですが、それは自分の勉強と努力でどうにでもなると思っていますので、それプラス講師としてどうあるべきかも研修しました。
 最初に研修して下さった先生の言葉を借りて「教室では良い講師を演じてください」とお願いしました。演じているうちに、本当に良い講師に育っていくことを私は知っていたからです。★