十数年前に日本でもミリオンセラーになった「朗読者」を映画化した「愛を読む人」を見てきました。十数年前にこの本が話題になった時に、読みました。そう長くない小説でスーッと読めましたし、いろんな意味で衝撃を受け感動もしました。
 21歳も年齢差のある15歳の少年マイケルと36歳の余り良い育ち方をしなかった女性ハンナの恋(少年にとっては恋、女性にとっては???)から始まる物語ですが、そこにナチスの問題が絡み、上手くストーリーが出来上がっています。この映画の軸になっているのは彼女の秘密、非識字者…このことが物語をいろんな意味で左右していくのです。これ以上はネタバレになってしまうので残念ですが書けません。
 この映画でケイト・ウィンスレットが第81回アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞しましたが、彼女の演じる30歳半ばから60歳台までの女性の変貌振りに、彼女の女優魂とこの映画に掛ける気迫が感じ取れました。この役は最初ニコール・キッドマンに決まっていたようですが、彼女が妊娠したためケイト・ウィンスレットに回ってきたようです。でもどう考えてもこの役は彼女を置いて他には演じられなかったと思うし、先日見た「レボリューショナリー・ロード」といい、彼女は完全に「タイタニック」のケイト・ウィンスレットを卒業したなぁと思いました。
 映画の最後は原作と少し違っていましたし、いろんな意味で映像はなまなましく、レイフ・ファインズ演ずる大人になったマイケルが刑務所をでる直前のハンナに会ったときの戸惑いと、目がとても冷たかったりするのですが、またそれも切なくて胸が痛くなるような映画でした。
 原作を読んでから10数年待ちわびていた物語の映画化でしたので、私にとっては、特別な思い入れで観た心に残る作品となりました。★


朗読者