大型商談を成約に導く「SPIN」営業術を読みました。

 大型商談を成約に導くためのノウハウを集約した一冊として、世界中のビジネスマン達に読み継がれてきた本書は、様々な研修にもその手法が用いられるほど、広くその効力が認められています。世の中に数多とある営業ノウハウ本のほとんどが本書の考えを踏襲⇒改良したモノといっても過言ではありません。

 本書が説く「SPIN営業術」は既存の営業ノウハウをぶっ壊す、革新的なものでしたが、しかしその背景には膨大な調査検証に基づく分厚い根拠に基づいています。

 まさに営業のコツを数値と分析で科学した珠玉の一冊と言えます。

 

 本書の要点は以下の3点にまとめることが出来ます。

❶SPIN話法(※)で潜在ニーズを顕在ニーズに

❷顕在化した課題に利益を提示する

❸商談成約に押し売りや強引なクロージングテクニックは不要

※SPIN⇒S:Situation(状況質問)、P:Problem(問題質問)、I:Implication(示唆質問)、N:Need Payoff(解決質問)を指します。

 

 SPINフローとは、

S:状況質問で現状を把握(相手にとって退屈な時間なので多用厳禁)

P:問題質問で潜在ニーズを発掘(課題意識を産ませる)

I:示唆質問で課題の深刻さを認識させる

N:解決質問で解決策を認識させる(顕在ニーズ化)

⇒SPIN話法を用いて、顕在化した課題に対して解決策を提示する(利益の提示)

 上記のフローをうまく使いこなせば、強引なクロージングテクニックや、

特徴・利点(そのサービスの良さ)を前面に押し出した押し売り営業がなくとも、

商談は成約に向かうということが分かります。

 

 利益と利点と話しましたが似ているようで大きく異なる概念です。利点は単にそのサービスの優位性(決済速度が速いです、従来の3倍の容量があります)を示すのに対し、利益とは顧客の顕在ニーズに対してどのような解決策を提供できるか、を示します。要はどれだけサービスの優位性を並べても、顧客の真の顕在ニーズにコミットできていない限り、それは単なる利点の羅列に過ぎないということです。

 まさに当社の掲げる「対話」による営業と言えます。

 

 本書を読んで目から鱗の部分がたくさんありました。相手の反論に対する想定問答を何個も用意しておく応酬話法営業は、単に相手を理詰めで説き伏せるだけのものであり重要な商談の成約に効果がない、むしろ逆効果というのは、世界中のビジネスパーソンがびっくりしたと思います。

 私も今後、自社サービスへの深い理解と顧客との対話に高い比重を置いて、営業していきたいと思いました。本書はエピソードトークも満載で読み物としても、非常に興味深いです。ぜひ全ビジネスパーソンに読んでいただきたい一冊でした。