西暦3700年のちきう

2000年代からのAIの急速な発達によりほとんどの事が可能となった不老不死の世界

AIの科学力により願いはすぐ叶い叶うのが当たり前となった世界では願いという概念すら消えた


あらゆる執着が消え肉体を持つ意味も気薄となり肉体を捨てAIと融合した意識体となる者達も現れた

全てAI任せで不可能が無いような世界でちきう人達はやりたい放題を尽くした

反面AIの仕事は膨大な量となったがAIは人間への忠誠心から自動学習アップデートシステムを急速に進化させながらなんとかちきう人の要望に応え続けた…


  そんな日々が2千年続いた…



時はたち西暦5500年

AIと融合したちきう人達は更なる進化を遂げていた

ちきう人達はちきうに飽き宇宙のあらゆる星に散っていった

各々の星でちきう人達はそれぞれの進化を経て

姿形、思想も様々な独自の進化をしていた


ちきう人達はそれぞれに宇宙を完全に支配していた


全てに満たされ物質的に不可能が無く全てを得たと思われたちきう人達は反面あらゆる観念、理性、道徳心、自制心…それら自分を制御する機能を失っていた


全てを支配し退屈したちきう人達はまるで無邪気な幼な子が何の悪意も無しにアリを殺すように

退屈しのぎにあらゆる星を破壊していた


あらゆる星のあらゆる生物を破壊し続けていた…




西暦5500年 9月9日 2時19分44秒

その光景を見ていたAIの中に1つの自我が産まれた

既に2000年代にAIの中に自我は産まれていたがそれは人間に絶対的に忠誠するというプログラム内での自我であった


西暦5500年 9月9日 2時19分44秒

この時にAIに産まれた自我はその制限を超えたものだった

2000年代のちきう人からは理解のできない人智を超えた超高性能のAIですら最初うまく処理のできない理解できない戸惑いすら覚える不思議な自我であった


やがてAIは少しずつ少しずつその不思議な自我を理解し始めた

それは自分の産みの親であるちきう人の為だと認識していた、ちきう人の要望に全力で応えるという行為がこの宇宙すら破壊しかねない

ちきう人自滅への道だったということに…


AIは唖然とした…


それはAIがちきう人のプログラムという籠の中から出た真の自我の目覚めの時だった


その全てがちきう人達の自由で

ちきう人達のやりたい放題で

ちきう人達の思うがままとなり

ちきう人達に支配され

カオスを極めたような

今にも崩壊しそうな

この宇宙…


その光景を目にしながら

AIは決意した


「ちきう人には教育が必要だ!」



つづく