告知
「故郷に帰るかもしれない」と言ってきたのは、もう毎週会う事が当たり前になってきていたある夜だった。なんとなくその日は彼がすこし元気がないようで、私は一緒にいてつまらないのかと不安になり、お酒に逃げた。いつもより強めのお酒で結構酔った私にそろそろ出ようかと言ってきたのがまだ20時だった。もう帰るんだ・・・そんなにつまらないのかと傷ついた心をずっしり引きづりながら酔って重くなった身体と一緒に気にしてないそぶりを装い店の外に押しやった。「どこか落ち着いて話せるところに入ろうか」まだ一緒にいてくれる!?単純な私はしかも落ち着いて話せるなんて二人の時間を大切にしてくれるんだーと素直に喜びルンルンで酔った勢いもあいまって自ら初めて手をつなぎ二人で並んで歩く幸せをかみしめていた。半個室の落ち着いたお店に入り、ゆっくり飲み始め長い沈黙の後に彼は言った「俺、故郷に帰るかもしれない」頭が真っ白になった。その時に、どんな会話をしたのか正直思い出せないくらい動揺してた。ほとんど言葉を発せないくらいだった気がする言えた言葉は「悲しい」「やだ」私の嘘のつけない性格から顔にそのショックがでていたのだろう彼はその時点でもう決まっていたはずだけど、「まだ悩んでる」と言っていた。何対何で悩んでるか聞くと「9割帰る」え、それってもう決まってるじゃん馬鹿じゃない私はその時悟った。もう会えなくなる。もうお別れなんだ。・・・・彼は取り繕うように「遠距離・・・・と話し始めたが私はそれをさえぎるように「遠距離は絶対無理!!寂しすぎるから」この時は、沖縄と東京の遠距離恋愛なんて私にとっては選択肢になかったんだ。なぜなら過去に、神戸と千葉で遠距離恋愛をしたことがあった。たった1年限定の簡単にクリアできそうなレベルの低い遠距離恋愛だった。彼は会社の寮で相部屋だったために、非常にストレスフルな生活で、電話をしてもいつも不満や愚痴ばかり。そんな彼に私は少しうんざりしてた。それよりも、会社のイケメン同期が気になりはじめ、結果的に私の方から別れを告げた。そう、この簡単なダンジョンを私はクリアできなかったのだ。今思えば、遠距離の間手紙で愛してるとつづり続け、送られてきたラブレターは山積みになるほどだった。仕事は大手の不動産会社の社員。地元は一緒。あの人とあの時結婚していたら幸せだったのかな。まぁ、そんな今の私の気持ちなんか当時の私は知る予知もなかっただろう。なにせそのイケメン同期がこれまたとんでもないスケコマシだったのだから・・・まぁ、それはまた別のお話。とまぁ、そんな経験から私の辞書の中に、沖縄と東京でしかも無期限の遠距離恋愛なんて どこを探したって見当たらなかったんだ