７月。

成瀬さんと無門殿の夏。

『忍びの国』雑誌祭りの時の雑誌をいくつか観てた。

アクションについて語る時に、舞台の話しも度々語ってくれてる智くん。

2017年『日本映画navi』。

時代劇のアクション自体は前に舞台(アマツカゼ〜天つ風〜08年)でやらせていただいていて、９年ぶりくらいかな。懐かしさもあり、今回は使うもの(刀)自体、短くて、二刀流だし、舞台のときとは全く違うんですけど…

理想のヒーロー像について

僕もあまり「俺は強いんだ」といった感じのヒーローは好きではなくて。無門も「伊賀一強い」というものはありますけど、いやらしく聞こえないし、それを表に出さない人だから。

昔、新撰組の舞台(バクマツバンプー〜幕末蛮風〜05年)で沖田総司をやったことがあるんですけど、本を読んだら新撰組は相当強かったと。中でも沖田総司は体も弱く、体型もがっちりしていないのだけど、刀さばきは誰よりも優れていると。ムキムキの人だったら、どこか想像できるんだけど、華奢な体で重い刀を使ってどう戦っていたんだろうって。沖田総司の写真は残っていなくて、想像でしかないけど。

華奢な体で、重い刀をあやつり、相当強かったという「沖田総司」を完璧じゃないヒーローな存在として、「無門」と重ねて共感する智くん。

2005年の『LOOK at STAR！』

『バクマツ〜』のインタビューで

周りの人がやたらと「殺陣は大変だよ」と脅かすんですよ。だからかあちゃんに「バット買ってきて」とは頼みました。とりあえず重くて長いものを持ちなれておいたほうがいいかと。

強かったらしい「沖田総司」になりきるために、重くて長いものを持ちなれていようとする智くん。当時のことを思い出したかもしれないね

2017年『キネマ旬報』

無門が草むらからビューンと飛んでくるシーンがありますけど、きれいに着地できなくて転がってしまうんですよ。それは監督の指示なんです。そういう描写で、無門もけっして完全無欠じゃないんだということを見せたいと。よく見てもらうと気づくと思うんですけど、全体的にあまりカッコイイ動きというものをしていないんです。

そうそう。あのシーンすごく好き。着地してクルクルって転がるけど、スチャッて止まってニヤッとする。カッコ悪いカッコ良さみたいな感じが無門が無門で好き。

後ろから忍者たちがワラワラと出てきて、おりゃ〜って走り出すあれ、無門殿がワクワクしてるから観てるこっちもワクワクしてくる感覚がたまらない

で、雑誌祭りって同じような質問と答えになったりするのが''あるある''だけど、このヒーロー像もそうだし、無門殿の怠け者なキャラクターに自分を重ねる部分があるかとの質問も、いくつかあって

2017年『キネマ旬報 NEXT vol.13』

無門は怠け者なんですけど、僕も怠けるときはとことん怠けるので、そのあたりが似てるのかな？僕、ちょっとダメだな〜と思ったら、これ以上ダメにならないくらいダメなところまでぐうたらするんですよ。不思議とそこから立ち上がれないことはないんですけどね。

とことんまでダメになる話しは智くん、よくしてる。

2008年『H』でも

作品を完成させるまでに、期限を決めたり罰ゲームを自分に課したりするのは、「明日でいいや」ってダラダラしちゃうと終わらないし、達成感もないから、と。

ー自分に甘える自分が嫌なんですね。

嫌なんだよ。中途半端が嫌い。どっちかじゃないとだめ。やるならやる。やんないならなんない。ダメ人間になるならとことんダメ人間になんなきゃ、だめ。

ーじゃあ、他人が中途半端でダラダラしてたりするのも気になりますか？

ああ、それはまったく気になんない。その人のペースがあるから、うん。

私、こう話す智くんがホント大好き。

智くんってホント、徹底して自己の内側に意識が向かう人だなぁと思う。常に自分自身がどう有るか、が自分の軸となる考え方だから、他人がどうこうには興味がない。だからブレないんだなと思う。私なんかすぐ、人の行動が気になったりするんだけどそれって、人は人のせいにすれば楽だからかなって思う。人と比べて自分の''位置''を測ってる気がする。

そういうのが

智くんには無いのかも。

この『キネマ旬報 NEXT vol.13』

Q&A「大野智が演じる」を知るための41の質問というコーナーがいい。

とことんダメになることについて、

ー「ダメだ〜と思ったらとことんダメなところまでいく」そうですが、どんなふうにダメになるのか、その例を挙げてください。

単純に、家で飲んで翌日の夕方まで起きない。または、早く起きてまた夕方まで寝るとか途中で起きたとしてもとことん寝るとか。ただただぐうたらする。

ー「そこから立ちあがれないことはない」そうですが、上がる秘訣は？

ダメすぎる自分になること。そしたら自分がイヤになるから。

とことんダメな自分が内在していることを、認めて受け入れているところが人間らしくて。そしてそこから上がっていく、自分をコントロールしてダメなまま終わらせない感じが好き。

ー今まで最も笑ったのはどんなときですか？

友だちといるとき。

別の雑誌、2017年『PICT-UP』で

本当の自分ってどれなんだろう、とはよく考えますよ。たぶん、家でひとりでいるときしか本当じゃないんだろうと思う。そのほかの僕って、自分ではないのかな。と語ってる。友だちといるときが一番、素の自分に近いのかも。

ー生まれ変わったら誰になりたいですか。動物でもいいです。イルカとかがいいな。うん、イルカがいい。

ーイルカを選んだ理由は？なんかいい。ずっと泳いでるとことか。

これがもうホント、智くんっぽい。

イルカを選んで、もう一回「うん、イルカがいい」ってあらためて限定する。イルカが大海原を自由に泳いでる絵面を頭に浮かべながら言ってそう。

ー大野さんは天才と評されることも多い。そういった声に対してひと言。勝手にやめて…(笑)

ー自分は天才ではない？ぜんぜん天才じゃないから。天才なんか、なかなかいないと思うから！

ー天才ではないとしたら、大野さんは何？

ふつうの男です(笑)。

天才と言われるの、本当に嫌なんだろうなぁ。

努力して練習してきた自分があっての今現在の自分であることが、智くんにとって大切な事であり全てなのかも。

ー努力しているところを表に出したくないのはなぜ？

人に見せたくないというより、たぶん、家でひとりのときじゃないとできないんだと思う。そこに誰かがいると集中できないからひとりのときにやるって感じかな。

前の記事までずっと、舞台の智くんのことを書きながら思ってたのが、智くんの''集中力''というか智くんの''集中の仕方''。

誰だって、どんなお仕事だって集中は必要だと思うけど

集中するところからエンタメを生み出してる感じ。

特に舞台を含めた演じることについてはそう、な気がする。凄まじい集中力を高めることで、良いものを生み出してる、というか

さっきの『PICT UP』で

ー今作に挑むにあたって、自分に課したことはありましたか？

ひとりでいる…っていうことかな。基本ひとりで家にいました。なんか絵を描くモードでもないしな、と思って。

絵も釣りもやらないと、何もやることがない。外食もほぼ、しなかったし。スーパーに行って、料理を軽くつくって…。

『撮影が終わって遊びに行って、また次の日に臨む』ということが僕にはできない。

ーどうしてですか？

わからない。できないです。何かを削りたくなる。そういう風になってしまう。

ーそれで今回、「家でひとり」だったんですか？

たぶんそういうことだと思う。『そうしないとな』って。

サクサクっと集中することが出来ないんだろうな

集中することを意識しながら撮影期間を過ごす

2016年以降は描けてないから、

『世界一難しい恋』と『忍びの国』撮影時は描いてない智くんだけど、2013年から2015年にかけて『FREESTYLEII』開催を意識し出してからは特に、演技のお仕事撮影時には、何かしら描いていたことが多くあった。

''描かない''なかで集中していた2016年。

それは''覚悟を決めた集中''だったのかなって想像する

『魔王』のときの集中がどっかの雑誌にあったかな、と探してるんだけど…

そして、セカムズ時期の雑誌で櫨山Ｐと中島監督が話していた『怪物くん』の最後の時に智くんが泣いていた話しと、「俺、いつまで怪物くんやるんだろう」って言ってた話し。

そういう……

『魔王』時期

全ての撮影が終わった時に何かがブワッと抜けて言った、体重が50キロ切ってた、というほどに初めての連ドラでの集中。

『怪物くん』時期

ドラマから映画へと続く長丁場。東日本大震災に太郎ちゃんの姿で支援に行ったことも。子供たちの夢を壊さぬよう、しばらくは金髪にしていた集中。

描けていた時の集中と

描けてない時の集中

『死神くん』時期は少しリラックスできていたなかでの集中だったと思う

そして2016年と。

集中の仕方は少しずつ違うけど

集中を意識することで、作品に対して一生懸命、誠実に向き合ってきたんだと思う

もう少し、撮影時期の雑誌を読み込んで

智くんの集中を感じてみたい。

そうか…今日は、七夕だ

お天気はどうなのかな

「完全無欠じゃないヒーローが好き」無門殿と沖田総司を重ねる夏。智くんの凄まじい集中の仕方。