ぼふっ
平手「はぁ…私…何してんだろ」
今頃佑唯はどうしてんだろう。
自分から置いていっといて、今更心配になるなんて馬鹿みたいだ。
一足先に部屋に戻り、横になって考えていた。
……去年、髪を切った時『思い切って男の子みたいにしてください』って注文したんだっけ。
今はもうこんな長くなったんだなぁ…
なんで男みたいにしたんだっけ。男性への憧れ?でもそう言われるとなんか違う。
憧れというか…なんか、男装って感じもなく自然な感じで。
言葉に出来ないくらい複雑な感情。
でも私はこの感情がなんなのかなんて気にせずにいた。
すると佑唯と一緒に部員達が帰ってきた。
志田「てち、お前また勝手に消えたのかよ!」
理佐「てかそれどころじゃない…てち」
小林「ねるが…」
メンバーは焦った様子だった。
平手「ん?ねる?」
織田「てち、ねるみてない?」
今泉「トイレにはいなかったよ、いや当たり前か。」
先輩「心当たり…ない?」
平手「まさか…ねる消えた?」
先輩「っぽいね…やばくない?」
私は体育館でのことを思い出した。
『私じゃ代わりになれないかな?』
途端に罪悪感と恐怖で背筋が凍った。
平手「…ちょっと探してきます!!」
ガタッ
志田「おいてち!お前足悪いんだろ、動くなって!」
平手「でも私のせいかもしれないし、私に行かせて!」
志田「いやダメ!安静にしてろ!」
今泉「じゃあ私がついてくよ」
志田「えっ、本気?」
今泉「そこまで焦るのにも事情があるんでしょ?何したか知らないけど。」
理佐「あ…じゃあお願いします」
今泉「うん。行こう、平手」
平手「うん…!」
そうして佑唯に支えられながら旅館を出た。
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
平手「はぁ…はぁ…」
今泉「平手大丈夫…?ちょっと休む?」
平手「いやだめ…ねる見つけるまでは休んでらんない」
旅館を出てはや30分。一向に見つかる気配がなかった。
諦めようとした、でももし…ねるの命に関わるようなことがあれば。
そう考えると自分に甘えてる場合じゃない。
さすがに足首に負担がかかって少しずつ痛みが増して私の邪魔をする。
すると静かな田舎町の中、誰かの鼻歌が聞こえてきた。
「〜〜〜♪」
今泉「鼻歌…」
…間違いない。橋のほうから聞こえるこの歌は…ねるの声だ。
平手「あれは…齋藤さん?」
橋の上にはねるだけではなく、齋藤さんも一緒だった。
なんだかシリアスな雰囲気。邪魔しちゃいけない気がした。
今泉「なんだ、齋藤さんと一緒だったんだ。よかった、何もないみたいで。」
今泉「大丈夫そうだから戻ろっか」
平手「…うん」
安心しきったところで帰り道、私たちはちょっとしたお話をしていた。
今泉「なんかさ…私たち、出会ってからずーっと毎日のようにキスとかしてたじゃん」
平手「うん」
今泉「こんなに本当になにもないと新鮮だね」
平手「恋しい?」
今泉「当たり前でしょ…なんなら今すぐにでも触りたい」
平手「ダメだよ、我慢。」
今泉「ん〜…」
平手「たった五日間でしょ?」
平手「帰ったらいくらでもしてあげるから」
今泉「ほんと?」
平手「うん」
今泉「いくらでも?」
平手「…っ、た、体力が切れない範囲で」
今泉「なんだ、いくらでもじゃないじゃーん」
平手「お前の底無しの性欲に付き合ってたら死んじゃうわ」
今泉「底無しってなんだよおいw」
??「あっ……」
「「あっ」」
……
そこにいたのは…理佐。
また、理佐。
今回もバッチリ会話を聞かれていたみたいだ。
理佐「ご、ごめんなさ…」
ガシッ
逃げようとする理佐の首に腕を回し、佑唯は耳元で囁く。
今泉「今回は逃がさないよ…?」
平手「はいっ、強制連行〜」
理佐「うぇ〜ごめんなさいごめんなさい!」
抵抗する理佐を無理矢理砂でまで連れていき、謎の尋問が始まった。