漫画「虚構推理」感想ブログ

漫画「虚構推理」感想ブログ

漫画の方の虚構推理の感想を綴るブログです。

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こんにちは!

 

今回は漫画「虚構推理」10-11巻に収録されているスリーピング・マーダー編の原作小説を読んでみました。

 

基本的には漫画と同じなんですが、最後の短編、というか後日談的な章だけは書き下ろしかつ漫画には未収録です。

 

この後日譚は九郎が琴子のことをどう評価しているかわかる話になっており、漫画を読んだ人がこの小説を買っても楽しめるようになっています。

 

ただ、漫画の感想の方でも書きましたし、この感想でも書きますが、ミステリとしてはちょっとルール破りがあって、本格ミステリ好きだとそういう点が目についちゃいますかね。

 

私はあまり細かいことは気にしないので素直に楽しめましたが...

 

私が紹介している方法だと600円分はお得に小説版も読めるので、こちらの記事を読んでぜひ試してみてください。

 

それでは、あらすじに行く前に個人的に3つのポイントをまとめておきました。

 

POINT
  • 琴子の高校生時代はここに収録されるのか
  • ミステリのご法度が小説だと目立つ
  • 書き下ろしの後日譚

 

原作小説「虚構推理 スリーピング・マーダー」のあらすじ

 

岩永琴子は高校生時代、ミステリ研に所属していた。

 

周囲とは関わらない彼女がミステリ研に入ったのは、当時のミステリ研部長、天知学のちょっとした策略があったのだが、結果的に両者痛み分けに終わったと言える。

 

時はたち、大学生になった天知学は、伯父の藤沼耕也に呼び出され、琴子のことを尋ねられた。

 

なんでも、藤沼耕也の義理の父、音無剛一は音無グループの会長として名を馳せているのだが、遺産相続に関してある課題を出したらしい。

 

その課題の判定役に岩永琴子が選ばれたというのだ。

 

天知学は琴子の高校生時代のあるエピソードを語るとともに、琴子を自分の思い通りにしようとはしないほうがいいと伯父に忠告する。

 

遺産相続の課題は、まさに誰もが「琴子に頼むのではなかった」と思うような苛烈な結果となることとは、その時は誰も思いはしなかった...

 

原作小説「虚構推理 スリーピング・マーダー」の感想

琴子の高校生時代はここに収録されるのか

漫画版では9巻のギロチン三四郎の前に琴子の高校生時代が収録されていましたが、本作の順番の方がしっくりきますね。
 
本作は全て書き下ろしですから、雑誌連載に小説を載せるというような都合もなかったでしょうし、なぜ漫画版はギロチン三四郎の話を挟んだのか...
 
10巻から琴子の高校生時代、六花さんの話、学による琴子の高校生時代の話ときて11巻まででスリーピング・マーダー編をした方がしっくり来たと思うのですが...。
 
まあ色々な事情があったのでしょう。
 
ちなみに原作はほぼ漫画のプロットといった感じでしたが、琴子が通っていた私立瑛々高校についての情報が本作の地の文で書いてあったので、興味がある方のために該当部分を引用してみました。
 
私立瑛々高校は県内で最も名高い進学校で、日本の東側と範囲を広げても学力と生徒の質に関して五本の指に入る学校と言われる。全国規模の模擬試験が行われればその生徒名が成績上位二十名以内に幾人も並び、文武両道の部活動において全国的に名を知られるものがいくつもあるなど、その評が伊達ではないのは明らかだろう。良家の子女の入学も多く、その品格の面でも有名であった。
 
...いやなにこのスーパー学校。色々な要素を詰め込みすぎですね笑
 
上位有名校を足して平均化したような感じでしょうか。ともかく、琴子のようなお嬢様が通っても違和感はないということですね。
 

ミステリのご法度が小説だと目立つ

漫画の感想の方でも書きましたが、本作では、最後の最後に新たな真実が提示され、それまでの前提が一気に崩れる箇所があります。
 
その情報がないとまともな謎解きはほとんど不可能で、したがって本作は本格ミステリとしては不完全、ということになります。
 
私は漫画から入った人間なので、城平作品にミステリ好きがどれくらい本格ミステリを要求するかが不明なのですが、上記の点だけ注意して頂ければ期待はずれということもなくなるかと思います。
 
漫画とは違って小説だと、どうしても「謎解き」という視点でみてしまう方もいると思うので。というか私がそうでしたが(ただ漫画の方でネタを知っていたので今回は大丈夫でした)。
 
虚構推理自体、怪異が謎の本質で、虚構を構築するためにせっせと作り話をする、といった、よほど本格ミステリらしくはない設定ですので、今更本格ミステリっぽさは求めないし気になりませんでしたが。
 
ストーリーを構成する、という点からいうと、むしろ素晴らしいどんでん返しだったと思います。
 

書き下ろしの後日譚

 
前作の短編集でもそうでしたが、漫画を読んだ人が原作を購入しても楽しめるように、漫画未収録の話が最後に入っています。
 
今回は「岩永琴子は大学生である」という、事件の後日譚の話ですね。
 
琴子の行きつけの店に知らずに入った天知学と恋人の小林小鳥が、偶然居合わせた桜川九郎と話をする、という話です。
 
短い話ですが、九郎が琴子のことをどう思っているかがわかるので、ファンは必読だと思いますね。
 
読みたいけど迷っている、という方、U-NEXTの無料体験ポイント600円分を使うと200円弱で原作小説を読めますので、もしよければお試しください。こちらの記事に解説を書いています。
 

その他気になったところ

これで感想を終わりにしようかと思ったのですが、どうしても個人的に取り上げたかったのが「峰」シリーズです。
 
本作では
 
  • 六花が車に轢かれて平気だった時の「峰打ちというものだったのでしょう」「車の峰ってどこ
  • 九郎が銃弾に撃たれて平気だった時の「『峰打ち』というやつです」「銃弾の峰ってどこだ!
というように、「峰打ち」ネタが二つ入っています。位置が離れているので、却って前のネタを思い出して笑えます。
 
さて、これで原作小説はひと段落ですが、漫画の方が話が進めばまた発売されるでしょう。
 
次の巻の感想でまたお会いしましょう。ではでは〜。

こんにちは!

 

アニメや漫画から入った人が、原作小説を買うかどうかの参考に、私自身が買って原作小説の感想書いてます。

 

今回は「虚構推理短編集 岩永琴子の出現」の感想です!

 

漫画の7~9巻に収録されている短編のうち、ほとんどはこの原作小説が元になっています。

 

詳しくは感想の方で書きますが、鋼人七瀬編と違ってどうも最初から漫画化されることを意識して書いた節があるんですよね。

 

そのため、ミステリ色よりも怪異色が濃くなっている気がします。

 

それでも、最後の短編はコミカライズされておらず(今後されるかもしれませんが)、しかもアリバイ崩しという本格ミステリの香り。

 

この短編のためだけに買ってもいいと私は思います。

 

試しに読みたいという方は、U-NEXTの無料体験でもらえる600円分のポイントを使うと100円ちょっとでこの短編集読めますのでお試しあれ。解説記事はこちらです。

 

それではあらすじの前に、個人的に3つのポイントをまとめました。

 

  • 漫画化意識して書きましたよね? 城平先生?
  • 豆腐小僧はここから来たのか
  • 怪異のせいでアリバイ崩しをする羽目に...

 

原作小説「虚構推理短編集 岩永琴子の出現」のあらすじ

ヌシの大蛇は聞いていた

漫画7巻のあらすじを参照してください。

うなぎ屋の幸運日

おなじく漫画7巻のあらすじを参照してください。

電撃のピノッキオ、あるいは星に願いを

漫画8巻のあらすじを参照してください。

ギロチン三四郎

漫画9巻のあらすじを参照してください。

幻の自販機

殺人事件を犯した男が、逃げる途中で山奥の小さな小屋に立ち寄り、うどん自販機でうどんを食べた。
 
しかしその小屋は妖怪たちが作った異空間の中にあり、出るときと入る時で経路がショートカットされ、通常の時間ではありえない速さで男は目的地に着いてしまった。
 
問題はそれが殺人を犯した後だったということだ。男にはアリバイが生じ、琴子が合理的な説明を考える羽目になる...
 

原作小説「虚構推理短編集 岩永琴子の出現」の感想

漫画化意識して書きましたよね? 城平先生?

鋼人七瀬編は、怪異が原因であるものの推理が中心でしたが、短編集はどちらかというと怪異色が強くなっている気がします。
 
あくまで気がする、というだけなんですが。
 
この短編集、鋼人七瀬編とは違って元からコミカライズされることが分かってましたので、漫画にした時に映えやすいストーリーにあえてしている気がしました。
 
「ヌシの大蛇は聞いていた」はともかく、「うなぎ屋の幸運日」「電撃のピノッキオ、あるいは星に願いを」「ギロチン三四郎」はあまり読者が推理する要素がありませんよね。
 
そういう意味ではミステリとはちょっと違うのかな、という気がしました。
 
ただ、どの話も話自体はとても面白いです。漫画で読むのとはまた違った趣があります。
 
原作の城平先生はミステリだけではなく「絶園のテンペスト」といったファンタジー(推理要素入っていますが)も手がけているので、そっち方面の色が濃く出たのかもしれませんね。
 

豆腐小僧はここから来たのか

すいません、これは完全に個人的な感想です。
 
漫画8巻の電撃のピノッキオ編の後、片瀬先生の書き下ろし漫画で豆腐小僧の話が出てきます(感想はこちらの記事です)。
 
唐突に豆腐小僧が出てくるのでちょっと違和感を感じていたのですが、元ネタ(?)をこの原作短編集で発見しました。
 
最後の短編「幻の自販機」の中でこういう一説があります。
 

妖怪がうどん作りを趣味にするのはいいとしよう。小豆を洗ったり薬を作るといった伝承のものもいるし、豆腐小僧も最近は手にする豆腐を自分で作るというから

 
まさにこれ、でした。本当に片瀬先生が原作短編集のこのフレーズからあとがき漫画のネタを思いついたかどうかは分からないですが。
 

怪異のせいでアリバイ崩しをする羽目に...

 
さて、上のフレーズを抜き出した短編「幻の自販機」ですが、今の所、原作小説3冊の中で唯一コミカライズされていない短編です。
 
漫画を全巻買ってもこの話だけは読めません。これだけでもこの短編集をわざわざ購入する価値はあると思います。
 
どういう話か簡単にまとめておきましょう。
 
  • 本間という男が会社の協同経営者、東岡と揉め事になり、撲殺してしまった
  • 怖くなったほんまはそこから車で逃げ出した
  • その途中、長時間の運転を休むために山道にあるプレハブ小屋に立ち寄り、うどん自販機でうどんを食べた
  • 結局隣県の海まで車を走らせた。
で、本間は犯行を全面的に認めている、と。これだけなら何も問題はなさそうなんですが、
 
  • 山道にあるプレハブ小屋は化け狸たちによるものだった。
  • したがってある意味プレハブ小屋付近は異空間であった。
というのが問題でした。ちなみにタヌキたちは自分たちで作ったうどんを人間にも食べてもらいたくて、たまに人間が異空間に入れるようにするらしいです。可愛いですね。
 
で、どんな問題がおきたかというと、
 
  • 異空間では時間と距離がねじれ、入った場所と出る場所が異なることが起きる
  • そのため、殺人時刻からどんなに早く車を飛ばしても海にたどり着かなくなってしまった。
というアリバイが殺人犯の本間にできてしまったのです。
 
といっても、本間が犯行を認めているんだから問題なさそうですが、
  • ある刑事が事件を気にし、独自に調査している
  • 異空間への出入り口や山が荒らされそうになり、タヌキたちが困って岩永琴子に相談した
ということですね。つまり、この刑事に、上記の完全なアリバイを崩す合理的な説明を琴子が与える、というのが目的になります。
 
これは非常に設定が本格ミステリっぽくて楽しめました。短編ですが読み応えがあるので、漫画を読んでいる人もこれだけのためにこの短編集を買っても損はしないと思いますよ?
 
先ほども書きましたが、それでも踏ん切りがつかない方はU-NEXTの無料体験でもらえる600ポイントを使うと100円ちょっとでこの短編集を読めますので、ぜひ試してみてください。解説はこちらの記事でしています。
 
さて、次巻はスリーピング・マーダー編です。内容は知っていますが、原作で読むとまた味わいが違うので非常に楽しみです。
 
次巻の感想でお会いしましょう。ではでは〜

こんにちは!

 

これまで漫画の方の感想を書いてきましたが、ついこの間原作小説も買って読んだので、その感想も書きたいと思います。

 

元々はこの原作小説が第12回本格ミステリ大賞の小説部門を受賞し、コミカライズとなったんですよね。

 

そのコミカライズで爆発的な人気になって、昨今のアニメ化につながった、と。

 

私は漫画から入った人間ですので、主に漫画との違いを中心に感想を書いていこうと思っています。

 

小説から入った方、漫画やアニメも面白いので、ぜひ本ブログで紹介している方法を使って無料で試し読み、試し視聴してみてください。

 

原作小説は漫画の1~6巻に対応しています。本ブログで感想も書いてますのでぜひそちらも読んで頂けると嬉しいです。

 

いつものようにあらすじを書くか悩みましたが、一応書いておきます。その前に3つの個人的重要ポイントも。

 

  • 図書館の妖怪は原作には存在しない!?
  • 紗季さんの心情がよく描かれている原作
  • コミカライズの片瀬先生の茶目っ気がむしろ分かる

 

原作小説「虚構推理」のあらすじ

真倉坂市に夜な夜な、巨乳の顔のない女性「鋼人七瀬」が鉄骨を振り回すという都市伝説。
 
だが、都市伝説のはずの「それ」に、真倉坂市の警察署に務める弓原紗季はある夜、遭遇してしまう。
 
そこに現れたのは人形のように可憐な少女。
 
昔別れた恋人と現在付き合っているというその少女と、紗季は「鋼人七瀬」の謎を追うことになる。
 

原作小説「虚構推理」の感想

図書館の妖怪は原作には存在しない!?

原作を読んでいて気づいたのが、琴子と九郎に関する導入部分が漫画より少ないことです。
 
原作では最低限の情報提供に止めるため、
  • 琴子が一つ目一本足となった経緯
  • 九郎が妖怪変化の肉を2種類食べたこと
までしか語られません。具体的に言うと、漫画版の図書館の妖怪と戦うシーンが丸々入っていません。
 
逆に言うと、片瀬先生がこのシーンを漫画版に追加したことになりますね。
 
おそらくですが、小説としては琴子と九郎の出会いは始めも始め、イントロで、登場人物の紹介に過ぎないのに対し、漫画としては序盤である程度読者を引きつけておかないとそのあとを読んでもらえない、という事情があったのだと思います。
 
アニメ版だとさらに「ヌシの大蛇は聞いていた」が図書館の妖怪との戦いの後に挿入されていますからね。
 
やはり九郎と琴子の出会いと、鋼人七瀬事件の間に何か読者を引きつけ、虚構推理のコンセプトを分からせるものが必要だと考えたんでしょう。
 
逆にコミックスにはなく、原作小説にある情報もあります。例えば琴子が自身がさらわれたことに対するモノローグで
 
さらわれるのは同意していないし、知恵の神になるのには同意しても足と眼をもっていくのまでは聞いていない。別にそれを後悔も惜しみもしていないが、少しは格好良く自分を語るのくらい許してもらいたいところだ。
 
とあり、
  • 足と眼を持っていくのは知らなかったんだ。
  • 後悔していないのは知っていたが、それなりの感情は抱いていたんだ。
という発見がありました。すっかり琴子は全て知っていて知恵の神になったのだと思っていたので...
 
これで後悔していないって凄いと思いますが...琴子らしいと言えば琴子らしい。
 

紗季さんの心情がよく描かれている原作

今回のあらすじも意識してそうしましたが、原作小説では紗季さん(弓長紗季)の視点で描かれていることが多い印象です。
 
アニメや漫画だと主人公の琴子に感情移入して読んでいましたが、小説では紗季さんに感情移入して読んでいました。
 
そうすると結構視点が違って面白いんですね。
 
特に九郎に対する未練や、琴子に対する感情が結構描かれていて、漫画とは異なった紗季さんの印象があります。
 
あと、事件が解決した後の紗季さんの心情描写は心に来るものがあります。
 
原文は長いので、要点をまとめると(鋼人七瀬事件解決後です)、
 
  • 紗季は今でも九郎が好き
  • 大学卒業間近まで別れないていられないか努力した
  • しかし、抱き合っただけで肌が粟立ち、キスをした直後に吐いた
  • その次に牛と魚まで食べられなくなった
  • そうして、別れる決心をするしかなかった。
漫画でも牛と魚が食べられないことは寺田刑事との食事で分かりますが、キスしただけで吐くとは...
 
漫画の方はなんで紗季さんが九郎と別れたのか、いまいち腑に落ちない点がありましたが、原作を読むと「そりゃ別れるわ」と思いましたね。
 
紗季さんファンがいるかどうかは分かりませんが、ファンなら原作小説は必読です。
 

コミカライズの片瀬先生の茶目っ気がむしろ分かる

原作小説は終始固い雰囲気で、時折出る琴子の軽口がその雰囲気を和ませています。
 
一方、漫画を原作と比べると、原作になかったシーンがいくつか挿入されていることが分かります。
 
例えば、
 
  • 琴子と紗季が話して別れた後、事件のことを調べている途中、紗季はガーリーな女の子がモテる、という記事を、琴子はクールな女性がモテる、という記事をお互いついつい調べてしまい、複雑な表情になっている描写
  • 七瀬かりんの出演していた深夜ドラマの描写
  • 解決その3で琴子が胸が縮むことにこだわる描写
など、入れられる範囲内でギャグが入っていることが分かります。
 
巻末のおまけ漫画からして、こちらが片瀬先生の素なんでしょうね。
 

その他、原作と漫画の相違点

全てを挙げることは不可能ですが、私が印象に残った、または気づいた原作と漫画の相違点を挙げておきましょう。
 
  • 原作の方が寺田刑事が功名心で鋼人七瀬を追ったことが分かる描写になっている
  • 紗季が琴子を義眼だと見抜いたのは、見抜いたのではなくなんとなく言ってみただけ
  • 原作では木霊の源一郎は普通に喋っているが、漫画では声のボリュームがおかしい
  • 事件解決後の琴子の胴上げシーンは漫画オリジナル
という感じですかね。
 
こんな感じで次の原作も感想書いていきますので、お楽しみに〜(楽しみにしている人はいるのか...?)

こんにちは! 

 

漫画「虚構推理」12巻は、琴子の高校生時代の短編を一つ挟んで、長編「雪女のジレンマ」が始まります。

 

この雪女がまたいい味出してるんですよね...虚構推理に登場する妖怪たちはみんなそんな感じなのですが笑

 

ここから読んでも特に問題のない内容になってます。

 

それではあらすじの前に、個人的な重要ポイントを3つにまとめておきましょう。

 

POINT
  • 意外と琴子は良い縁に恵まれていた
  • 人間味のある雪女
  • アリバイはある...が

 

漫画「虚構推理」12巻のあらすじ

死者の不確かな伝言

琴子の高校生時代のミステリ研の同期、風間玲奈は田舎に住んでいる祖母宅に訪れていた。
 
そこで、化け物のような大きな猪が「何か」から逃げている場面に遭遇。
 
その「何か」は六花だった。話の流れで玲奈は六花に高校時代に起きたダイイングメッセージに関する事件と、それに対する琴子の推理劇を語り始める...
 

雪女のジレンマ

ある男が雪山で友人に突き落とされ、瀕死状態だった。その男をたまたま助けたのが雪女だった。
 
男はその後、奇妙な縁で雪女と再び出会い、交流を始めた。
 
ある日、警察が男の家に訪れた。曰く男が離婚した元妻が殺されたという。
 
もちろん男は殺していない。アリバイもある。しかしそのアリバイを証明するものは雪女しかおらず...!?
 

漫画「虚構推理」12巻の感想

意外と琴子は良い縁に恵まれていた

本巻1話目は短編です。琴子の高校生時代、ダイイングメッセージに関する琴子の推理が炸裂します。
 
前の高校生時代の話では、ミステリ研部長の天知学、その恋人の小林小鳥がメインで、そのほかの部員については1コマ出てくるぐらいでした。
 
今回はミステリ研の同期、風間玲奈が、田舎の祖父母宅に行った時に偶然出会った桜川六花に語る、という形をとって物語が展開します。
 
高校生時代の琴子は周りとあまり距離を近くしないようにしていた様子でしたが、この玲奈は琴子にかなり良い印象を持っています。
 
少しそれがわかる箇所を引用してみると
 
岩永さんといた日々は忘れがたく、彼女と関わるのを選んだ高校時代の自分を誉めこそすれ悔いたことはない
 
というモノローグがありますし、琴子が推理を披露した直後、その悪辣さにキュンとしている描写があります。
 
「可憐にして苛烈」という性質に強く惹かれていたようですね。悪辣さにキュンとするのはよくよく考えてみると意味不明ではありますが...笑
 
ちなみにダイイングメッセージの推理ですが、一つ思ったのは琴子の強烈な目的志向です。
 
通常のミステリでは謎を解くことが目的ですが、虚構推理ではその物語の特性上、依頼者が納得すればOKだったり、依頼者の周りの問題が解決すればOKだったりします。
 
つまり、依頼者の問題が解決するような解決が最適であり、必ずしも鮮やかな謎の解決をしなくてもいいんですね。
 
余計なことはしなくてよい、と。そういう琴子の態度がよく出ていた解決でした。
 

人間味のある雪女

本巻の2話目から「雪女のジレンマ」という長編が始まります。
 
ある雪女が助けた男性のアリバイにまつわるストーリーです。
 
この雪女がいい味出しているんですよね笑
 
  • 人の世界の金を少しもらうために男を助けた
  • 酒とうまい料理を食べるために男と交流をはじめた
 
など、よほど一般的な雪女とはかけ離れています。のんべえ美人のお姉さんにしか見えない笑
 
虚構推理ではこういう「一般的なイメージとは違う良い味を持った妖怪」が多く登場します。
 
原作の城平先生はミステリー専門ですが、それこそ怪異モノの小説を書けるのではないかと思うほど。
 
また、この話のもう一人の主人公である室井昌幸もいい味が出ている人間です。
 
虚構推理に登場する男性キャラは結構サバサバしている印象があるのですが、彼もまた例にもれず。
 
7巻に週力されていた短編の「鰻屋の幸運日」に登場した2人の男性に近いものを感じます。
 
雪女に出会っても驚いてはいるけどそのあとは平然として軽口を叩く余裕もありますし、明らかに普通ではないですよね。
 
雪女をわざわざ「俺の話し相手になるのは妖怪ぐらいしかいない」(度々の裏切りにあい人間不信のため)と言って雪女と遭遇した山の近くに引っ越してくるなど、よくよく見てみるとこんな行動をとる人いないだろ! という感じです。
 
でも個人的には良い友達になれそうな気がします。こんな人なかなかいませんが笑
 

アリバイはある...が

この昌幸に降りかかってきたのが殺人容疑。
 
離婚した元妻を隣町で殺した容疑がかかりました。
 
もちろん昌幸がやっていないのは読者には周知の事実。
 
そしてやっていないことを知っている人がもう一人...そう、雪女です。
 
犯行時刻に昌幸は雪女と買い物に出かけており、その姿もきっちり防犯カメラに写り込んでいました。
 
そう、アリバイは証明されるのです...
 
雪女が妖怪でなければ
 
雪女は身元が(当たり前ですが)ないので、証言することができません。証言しても認められません。うわ...詰んだ...
 
いや〜、よくこんな設定考えつくなと思いました。本巻は導入部分になりますが、次巻、これで琴子がまた「虚構推理」を披露することになるのでしょう。
 
妖怪が絡んでアリバイが成立してしまった、という話は「虚構推理短編集」(小説の方。いずれ感想を書きます)の「幻の自販機」と似ているところがあります。
 
あちらも色々な搦め手で事件は解決しましたが、こちらもどう解決するのか注目です!
 
それでは、次巻に続きます!

こんにちは!

 

漫画「虚構推理」11巻は、1巻丸ごとスリーピング・マーダー編です。

 

過去の社長死去に絡み、色々な事実が明らかになり、最後の最後にどんでん返しが起こります。

 

漫画としては面白いのですが、最後の最後に新情報が出てくるのでミステリーとしてはルール違反な気もしますが...

 

自分で推理したい人はお気をつけください。多分これは推理は無理です。一応この感想では答えは書かず、その後出し情報だけ書きました。

 

それではあらすじに行く前に、まずは個人的なポイントを3つにまとめておきましょう。

 

POINT
  • 様々な思惑が絡まった事件
  • 推理の過程で明らかになる驚愕の事実
  • 最後の最後でどんでん返し

 

漫画「虚構推理」11巻のあらすじ

 

 

音無グループの会長、音無剛一によって集められた3人の子供達。
 
正確には、長男の娘、莉音と次男、そして長女の婿、藤沼耕也。
 
彼らは、岩永琴子の力を借りつつ、「23年前に音無剛一が妻の澄を殺した事実を説明せよ」という課題を解くように剛一自身から要求された。
 
戸惑いつつも、琴子の力を借りながら推理を進めていく3人。しかしその過程で様々な真実が詳らかにされていくこととなり...?
 

漫画「虚構推理」11巻の感想

様々な思惑が絡まった事件

基本的な背景設定は10巻の最後の話に凝縮されていますが、ここでも簡単にまとめておきましょうか。
 
  • 音無グループの会長、音無剛一は23年前に妖狐に頼んで妻を殺させた
  • 理由は、当時の妻の傍若無人ぶりが目に余ったからである
  • 妻が死んだことにより色々な物事が上手く行ったが、その成功体験を子供達に覚えて欲しくない
  • 余命いくばくもない自分が殺人犯となることにより、「殺人をしたらその報いがある」ことを子供達に信じてほしい
と、ここまでが音無剛一氏の願いです。こう書いてみるとなんとも身勝手な感じがしますが、ともかく剛一氏はこう願ったわけです。
 
しかし、当時の妻、音無澄の殺人事件は、対外的には「強盗に襲われた」ということで決着がついています。いきなり剛一氏が「実は自分が殺したんだ」と言っても誰も信じないでしょう。そこで、剛一氏はある案を考えます。
 
  • 自分の遺産分配の権利を巡って子供達に「自分が澄を殺した」とする説明をさせ、競わせる。
  • 身内ではなく、外部の人間である岩永琴子を立会人として呼ぶことで信ぴょう性を増す。
という、字面だけ見ると結構ゲスなことをして自分の殺人を信じさせようとします。琴子も厄介なことに巻き込まれたものですね。
 
まあ剛一氏に琴子を推薦したのは六花さんだったようですが。
 
これは後で明かされるんですが、まあ感想で書いてしまっても問題ないでしょう。琴子の苛烈さを九郎に見せる目的があったようです。
 
そんなことで揺らぐ二人の関係では無くなっていますが...
 
そんなこんなで、結局のところ、
  • 長男の娘、莉音
  • 次男の音無晋
  • 長女、音無薫子の婿の藤沼耕也
の3人が参加し、「音無剛一が妻の澄をどう殺したかの合理的な説明」を考えるハメになったわけですね。
 
事実は妖狐が殺した、しかしそれでは信じられないので合理的な説明を考える、というのは虚構推理おなじみの流れです。
 

推理の過程で明らかになる驚愕の事実

 
さて、この「音無剛一が妻の澄をどう殺したかの合理的な説明」だけを考えればよいと思っていたんですが、その過程で意外な真実が明らかになります。
 
音無剛一の妻、澄は当時の3人の子供たちにとって目障りな存在でした。なぜなら
  • 料理人になりたい長男の意向を無視して次期社長にしようとした
  • 次期社長になりたい次男の意向を無視した
  • 長女が連れてきた彼氏を認めず、自分が選んだ相手を婿にしようとした
からです。まあ今で言う「毒親」に近いですかね。
 
妖狐が澄を殺したお陰で、長男は料理人、次男は音無グループの常務取締役、長女は意中の相手と結婚できたわけです。
 
で、琴子と前述の3人が意見をまとめるなかで明らかになったのが、当時の3人の澄への殺意でした。
 
殺意というか、殺人計画をそれぞれ立てていたんですね。
 
  • 長男と次男は示し合わせてアリバイ工作をし、澄を殺害しようとしていた。しかし計画中に澄が殺されたため断念。
  • 長女の薫子も骨折を偽装してアリバイ工作をし、澄を殺害しようとしていた。しかし本当に骨折してしまい断念。
本当に殺そうとしていたとは驚きでしたね。
 
琴子はこれらの事実を知っていて、それぞれ自白するように会話を誘導していたように思います。
 
で、それらをまとめた上で結局
 
  • 音無剛一が澄に自殺するように誘導した。つまり澄は自殺だった
という結論を作り、剛一に提出しました。
 
剛一もその回答に満足し、この話は終わり...になるはずだったんですね。
 

最後の最後でどんでん返し

ですが、話はこれで終わりませんでした。
 
最後に琴子から明かされる衝撃の事実。それは
  • 音無澄を殺したのは妖狐ではない
と言うものでした! ミステリとしては御法度の情報後出し!!
 
そして琴子の口から明かされる衝撃の犯人!!!
 
いや〜、全てひっくり返りました...
 
ここに解答を書くのはさすがに野暮ですが、「音無澄を殺したのは妖狐ではない」という情報がないと真実がわかりませんので、それだけここで書きました。
 
最後の最後でちゃぶ台返しです。ストーリーとしてはすごい楽しめました。ミステリ好きからは批判がありそうですが...
 
ただ、音無剛一氏は気の毒でしたね...彼は自分が依頼した妖狐が澄を殺したと信じていたわけですので...
 
実際、琴子が真犯人を指摘したあとは、心労でもともと無かった余命がさらに縮んでしまったようでした。
 
琴子の「可憐にして苛烈」という性質が見事に出た推理でした。
 
という感じで、最後の最後のどんでん返しで終わりました11巻。
 
次巻は雪女の話がメインになるそうです。
 
また次巻の感想でお会いしましょう!