今週土曜日のリサイタル、シューマンからは子供の情景と幻想曲を弾きます。

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子供の情景は、大人にこそ染みる小品集です。シューマン自身もこれは子供のために書いたものではないと

言っています。私自身も子供のころは綺麗な曲たちだなとしか思わなかったのですが、この曲集が染みるようになって、

あぁ大人になってしまったんだな、と思いました(笑)

 

子供のころ、自分がどんなにいろんなことに敏感で、すべてのものが謎に満ちていたか、よく覚えています。

すごく怖がりだったことも覚えています。もう取り戻せないその気持ちへの、ほろ苦い切なさといとおしみをこの曲集は感じさせてくれるのです。シューマンも子供のころから知っている10歳年下のクララを見ながら、そんな気持ちになったのでしょうか。
1,2分の曲が13曲連なりますが、無邪気な情景が浮かんでくるような描写的なものから、クララへの愛情を感じる曲だったり(トロイメライはその代表ですね)、触れたら壊れそうなくらい繊細な心模様をうつしたものまで、宝石箱のように魅力たっぷりな作品です。

 

 

幻想曲は、また違ってとても規模の大きい作品です。

”色とりどりの夢の中を貫いて一つの音が聴こえてくる。ひそやかに耳を澄ますもののために・・”

というような詩が冒頭に書かれています。その詩の通り、クララと結ばれるまでの苦難の数年間の心のうちが

余すところなく切り取られています。

シューマンの頭の中って常にいろんな思考や空想、夢想、妄想(笑)が目まぐるしく渦巻いていたのかなと思います。

その中で常にゆるぎなく確かなことが、クララへの愛。もうもはや依存なんじゃないかと思える愛情。

夢想の中を無我夢中で泳いでいるといつも、いつの間にかクララの旋律が現れる。冒頭の詩の通りです。

時には絶望し、時には英雄のように立ち上がり、時には夢想にふけって・・。

30分近くある長い曲ですが、こんなに生々しく、人間臭く、気持ちを伝えてくる音楽あるだろうか・・と思わされる作品です。

 

 

楽しんでいただけますように!