鈴木嘉一(~よしかず)著『大河ドラマの50年』の「第一章大河ドラマはこう作られる」の中で「四、時代考証と虚実」という節がある。
22~24ページによると、日本近世史を專門とする東京学藝大学教授の大石学氏はNHK時代劇の交渉を10年手がけており、大河では『新選組!』『篤姫』『龍馬伝』の時代考証を担当したらしい。

彼が高知県で講演したとき、地元の人から『龍馬伝』の時代考証について質問されたらしく、高知城下と安藝(安芸)は簡単に歩いていける距離ではないのに、ドラマで岩崎弥太郎と龍馬が何度も会っているのはおかしいという意見だった。この件に関して「百も承知の上で目をつぶった」(23ページ)らしい。

また、近藤正臣が演じる土佐藩主・山内容堂が年を取りすぎである件は大野敏明氏が『歴史ドラマの大ウソ』で批判していたが、『大河ドラマの50年』によると(おそらく大石氏が)「妖怪めいた特異なキャラクターを際立たせるため」という「スタッフの説明に納得した」(23ページ)かららしい。

大石氏はドラマが史実と違った場合、「指摘はしても、最終的には制作者の判断に任せる」と断言したらしい(24ページ)。

また、「全然」という単語は明治後期から使われたので、「全く」か「少しも」に直してもらったことや、「絶対」「時間」「運動」も幕末になかった熟語で、言い換えを求めたらしい。

しかし、大河ドラマのことば遣いの問題は大野敏明からさんざん指摘されている。
ネット上の「歴史ドラマのウソホント」によると『龍馬伝』では登場人物が嬉しいときに「やったー」と言ったようで、これは『江~姫たちの戦国~』第2話でも繰り返された。
むしろ『おひさま』に登場する昭和初期の人物のほうが古風に見えるかも知れない。