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河崎実と重いコンダラ友の会『「巨人の星」の謎』(宝島社、平成5年・1993年)

 

 

豊福きこう『水原勇気0勝3敗11S』(情報センター出版局、平成4年・1992年)

『水原勇気~』は今では講談社文庫になっている。
○豊福きこう『水原勇気1勝3敗12S「超」完全版』(講談社文庫、平成12年・2000年)
○豊福きこう『矢吹丈25戦19勝(19KO)5敗1分』(講談社文庫、平成14年・2002年)

 

↓他の出版社からはこれらが出ているようだ。
○豊福きこう『ドカベン、打率7割5分の苦闘―「超」甲子園完全データファイル』(文藝春秋、1999年)
○豊福きこう『ドカベン1000号への道 〈プロ野球編〉データブック』(秋田書店、2005年)

 

『「巨人の星」の謎』と『水原勇気~』では星飛雄馬の生年月日を推測、さらに星飛雄馬と番場蛮の勝ち数、負け数、勝率などを検証。豊福氏は『ドカベン』での明訓四天王の活躍を74年度~76年度としているが、プロ編ではその前提が通用しない。

 

『「巨人の星」の謎』では河崎実氏の考え方により、原作『巨人の星』と『新巨人の星』、アニメでは『巨人の星』の無印(左腕編)だけを扱っており、アニメの『新~』、『新~II』を意図的に除外してある。したがって、アニメ『新~』で描かれた左門の京子に対するプロポーズなど無視して、河崎氏は勝手に別の求婚方法を想像しているし、『新~II』で描かれた一徹の死なども無視して、「(『「巨人の星」の謎』が出版された)平成5年現在、73歳となっているはずの一徹」などと、自由に書いている。

大リーグボール養成ギプスに関しても新旧の原作だけを根拠にしている。無印で少年飛雄馬が使った「大リーグボール養成ギプス」、オズマが使った「大リーグボール打倒ギプス」、『新~』で飛雄馬が下半身に装着した「大リーグボール養成ギプス右投手用」が取り上げられているが、アニメ『新~II』で花形が蜃気楼ボールを打つための特訓で使った大リーグボール養成ギブス(用途から命名すれば「打倒ギプス」)に関する言及はない。そこは柳田理科雄の『空想科学[漫画]読本』も同様だった(『巨人の星』では、原作ではGipsが「ギプス」と呼ばれるが、アニメでは「ギブス」になっている)。

 

『巨人の星外伝・それからの飛雄馬』について、『「巨人の星」の謎』では昭和48年、つまり1973年の『少年マガジン』掲載としているが、この『外伝』が収録されている講談社漫画文庫『新巨人の星』6巻では '78年に掲載されたと書かれてある。

 

豊福きこう氏の『水原勇気0勝3敗11S』では『野球狂の詩』、『ドカベン』(『大甲子園』も含む)、『あしたのジョー』、『タイガーマスク』、『巨人の星』(『新~』、『巨人のサムライ炎』を含む)、『侍ジャイアンツ』の原作漫画だけを対象にしており、アニメは除外してあり、その分、データは細かい。

 

『巨人の星』と『あしたのジョー』を比べる論は多いが、豊福氏は『巨人の星』と『侍ジャイアンツ』と『新巨人の星』を比較し、さらに『あしたのジョー』と『タイガーマスク』を比較するなど、他と違った梶原一騎論を展開している。
特に星飛雄馬と番場蛮の比較、さらに星飛雄馬が左腕投手から右腕投手になったことによる人間的成長、矢吹丈と伊達直人の違いが詳しく述べられている。
『タイガーマスク』が「孤児育成に関する虎の穴と伊達直人のイデオロギー対立」であり、「結果として虎の穴とタイガーマスクが協力して、ちびっこハウスを経済的に支援した物語」であるという視点は意外性があって興味深い。

 

豊福きこう氏は『水原勇気0勝3敗11S』で「石毛は高校生活無安打」としているが、吉良戦では最低限、出塁しているはずである。
また、豊福氏は土井垣について「高校生活で本塁打なし」としているが、『ドカベン』で描かれたのは土井垣が高3のときだけで、高1、高2で本塁打を打っていないことの証据がない。

 

ネットで見つけたのだが、これは豊福氏のブロクらしい。
『野球狂の詩 VS. ドカベン』に勝つプロ野球チームをつくろう
http ://tonichispo.blog123.fc2.com/

 

 

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2008年12/17