消える魔球
すでに『ちかいの魔球』で消える魔球が登場。星飛雄馬が「大リーグボール2号」として復活させた。マウンドの土を足で蹴り上げ、ボールに縫い目に付着させ、本塁附近でボールに上下U字型の変化をさせて土けむりを巻き上げ、保護色で消えるというもの。実際の球場の土は、土けむりが立ちにくくなっているので、まず、不可能。

 

現実の野球界で消える魔球が出現したら、本物のボールがどこを通ったか不明なので、審判が判定できず、暴投扱いされる可能性がある。また、打法としては球が消える前に叩く手があり、A・オズマが大LB1号に対して使ったバット投げ作戦が考えられるが、成功率は低い。また、明訓ナインが緒方のフォークに対して使った「前かがみになって、落ちる寸前のボールをバットの先で叩く」という手は星飛雄馬の「消える魔球」にも使えそうだが、消える魔球に対してこの打法を使った選手はいなかった。

 

長嶋茂雄は「体重地固め」、「3塁走者協力」、「ヘルメット落とし」の3つにすぐ気づいたと言っていたが、実際に伴宙太が体重地固めを使ったときは、「しまった、伴が何度も倒れたのは、土けむり封じだったか」と驚いていた。

 

消える魔球の打倒策は、魔球が消えるのを防いで打つもので、『巨人の星』であれば、U字型に上下する球が目に見える魔送球の字状態で打つものだった。球種が読まれない限り、消えなくても魔球であり、消える仕掛けを排除して、直球やシュートなどと混ぜて、フォークの応用編として使ってもよかった。

 

消えたままのボールを打つのはボールの気配でも感じ取る達人でないと無理であろう。伴宙太は大LB1号の練習台になったとき、両眼に目隠しをしてボールを打ち、2号では目を傷め、両目包帯のまま捕球。彼は体重地固めで消えそこなった魔球を打ったが、消えたままのボールを打つこともできたかも知れない。

 

また、『アストロ球団』には盲目の選手が登場し、『男どアホウ甲子園』の岩風も一時、失明したまま藤村甲子園の球を受けていたらしい。『ドカベン』の岩鬼は太陽光が目に入ったときでも、ボールを打った。悪球打ちの岩鬼にとって、ボールが目に見えないのは最大の悪球=絶好球であろう。彼なら消える魔球を打てただろう。だが、巨人学園との試合では、太平(大平ではない)監督の眼鏡をかけて打席に立ったところ、ボールが見えず打てなかった。
└→打法・悪球打ち

 

野球漫画ではないが、『魁!!男塾』の剣桃太郎と伊達臣人(だておみと)、および月光は心眼を心得ている模様で、それぞれ、剣、槍、棍が武器。野球選手になれば、消える魔球を打てるかも知れない。
└→魔球・ボールが消えるもの2