ボールが黒くなる魔球、光る魔球
『黒い秘密兵器』で椿投手が投げた「黒い秘球」はボールが黒く変色するもの。ボールが早過ぎて影がボール自身に映るらしいが、光速を超えないと無理。ボールが黒くなるだけなら、打者の目が慣れれば打てる。

 

『新巨人の星』で花形が黒く塗った打つ練習をしたが、これは分身する蜃気楼の魔球の中から。地面に影のあるボールを見極めて打つためのもの。この練習をした花形なら黒い秘球も打てた。

 

ボールが光る魔球は1960年代の『黒い秘密兵器』の椿投手が投げた「光る秘球」が代表的だが、その後、受け継ぐ者は少なく、八九年に『ミラクルジャイアンツ・童夢くん』で新城童夢が分身魔球と融合させたレインボー・スパーク・ボールを開發(89年ごろ)。

 

光る魔球は捕手にとって捕りづらく、審判も判定できず、サングラスをかければいいなら、打者もサングラスを使うだろう。ボールを光らせなくても、反射光のまぶしさを使って打者を打ち取る策は『ど根性ガエル』や『ドカベン・スーパースターズ編』にも出てきた。だが、『ドカベン』明訓編の悪球打ち・岩鬼には通用しない。岩鬼は太陽光線が目に入ってボールが見えなくなったとき、逆に本塁打を放った。
└→落合博満【人物】

 

Z字型に変化する魔球、打っても凡打になる球、グリップ・エンドで打つ打法など
 70年代後半、小学館の学年学習雑誌に連載された漫画で、小学生が魔球を武器に長嶋巨人に入る話がある。魔球はZ投法で、水平面上にZ字型に曲がるもの。しかし、強打者なら、目が慣れれば打てるらしい。ネットで再確認したら『あばれジャイアンツ』、77年に『小学校五年生』に連載していた。
 主人公は次にスローボールで、打っても外野フライになる球を開發。これはバットの丸みによるものだが、ライバルがグリップ・エンドで打って攻略。グリップ・エンドといえば改良型「大LB1号」がグリップ・エンドに当てる魔球だが、明訓の山田太郎は不知火の速球をグリップ・エンドで打った。星対山田の対戦を見てみたいものだ。
 また、上下の面に沿ってZ字型(N字型)に曲がる魔球もあり、一度、ドロップしてホップするもの。ネットで再確認すると『炎の巨人』の「ニュー・ファイアー(またはファイヤー?)・ボール」らしい。これに対し、打者は水平なバットをストライクゾーンいっぱいに上下させて「板」にする打法を使っていたように想う。ドロップする場所を投手よりにして、タイミングを早くすると、ホップしたコースが上に移動してバットをよけることも可能。
 ドロップしてホップする球なら、星飛雄馬の縱に変化する魔送球がある。『巨人の星』の消える魔球は消えなくても充分に魔球である。打たれたのは球種を読まれていたせいである。