私はあるところで



あるものを販売しております





今日の14時、1人の男性客が来店




しばらく商品を見つめ




携帯で動画を撮り始めた




少し離れて見守る私…




「いらっしゃいませ」と声をかけてみた








「し、失礼しました!勝手にスミマセン!」




と、激しく動揺されたので




「いえいえ、大丈夫です。商品気に入られました?」




「そうですね。前から気になってたんですけど…」




と、いうことだったので商品説明を致しました




「こういうもの見るの仕事柄、好きなんです。理系なんで




「そーなんですね。ごゆっくりどうぞ。カタログお持ち致しましょうか?」




「いいですか?カタログなんか見だしたら2時間ぐらい平気で見ますよ   理系なんで





理系連発である…





「ごゆっくりどうぞ。何かあればお声かけ下さいませ」





と、伝えてその場を離れた





時計を見ると14時10分




そろそろ昼食を頂きたいが…





理系のお客様…どないしよ…





2時間カタログを見られてては困る





声をかけられるまで昼食にありつけない




声をかけないかもしれない…





困った




5分も経たないうちに




理系のお客様ににじり寄る私




「いかがですか?何か分かりにくいコトございませんか?」




「あ~、だいたい分かります      理系なんで





また言ったわね




それでも、やはり質問はあるようで色々聞いてこられました




お試しされたり




金額にこだわらないコトなどおっしゃって




「これ、頂きます」





と、50万ほどの商品の購入を決断されました




やったわ!ココロのこもった接客十分な説明




なかなか手強いと思いきや、アッサリと決断されました




「では、お席にどうぞ」





席に座ったとたん、理系のお客様は





「京姫さんの接客の仕方って…」





「は?なにか?」





「いや、なんかね、いや…やり方があるんだなと思ってね」





「は?なにか失礼ありました?」





「いや、そーやって接客されるやり方というか流れがあるんでしょうね」




奥歯にモノが挟まってるわ…





「ボクが質問する上から上からカブせますよね」




「えーーーーーっ!スミマセン!失礼なことを!」





「販売員さんがオトコなら僕、イラッとしたかもしれません」





「はぇーーーー!申し訳ありません!」





ハッキリ言ってビックリした





長年接客業しているが、こんなこと言われたのは初めてである





そんなこんなで伝票を書き始めた私





会話しながら伝票を書く私に





「へぇー、喋りながら伝票書けるんですね」




間違えられては困ると思われたよう…





「はい。黙って書きますね」




「いえいえ、僕は出来ないのですごいなーと思ってね」





・・・




その商品のお届けは約1カ月後である




カタログを出し




「お客様のお買い上げ頂いた商品に付箋を貼り付けております」




と伝えると




「大丈夫です。僕、理系なんで映像で覚えてます。」




「え?映像?」




「はい。緑色のページの右側にありますよね。」





「えーーーーー、そんな覚え方?はぁ~、理系の友人いないんで衝撃ですわ~」




驚く私に得意げなお客様




「じゃ、付箋はナシで…えー、ではお客様
お会計を…」




「あ、スミマセン。今から銀行でおろしに行ってきます」




「カードはお持ちでなかったですか?」




「ちょっと買い物たくさんしすぎて限度額が足りないかもしれないので…」




「あ、かしこまりました。お待ちしております。」





すると理系のお客様は私に免許証を差し出した




「逃げも隠れもしないので、渡しておきます」




マジか?!





「いえいえ、大丈夫ですよ」





「あと、コレも」




と、20万のスーツのレシートを見せた





「買い物して限度額が足りない話が嘘と思われてはいけないので」





マジかーーーーッ





てか、マジメかーーーーッ




そんなこんなでお客様の大事な免許証を握りしめ





売り場で待つのでありました







                 つづく