手術前に記入しないといけない書類がたくさんあった

字が残念ながら下手な旦那

代筆し記入する私

日常のこと家族構成、病歴や緊急連絡先等々。。。

その書類の中に術前のアンケートがあり



【いま、あなたの心の支えは誰ですか?】



という問いかけが・・・

『どうする?誰って書くの?』と聞いた

旦那は言った

『そこは…お前って書かなおかしいやろ』

・・・おかしい・・・そりゃそうだ・・・




結婚して25年

決してラブラブでやってきたわけでない

何度も衝突したし、ありがちな夫婦の危機も幾度となくあった




なので、ここにきて本当に私が心の支えなのか分からない

そんな感情をもちつつ


『妻』


と書いた





6月21日、早朝より手術

手術予定時間は5時間

転移はないとの判断で胃の全摘と脾臓摘出


姑、義妹、息子とで手術室に入っていく旦那に手を振った



悪い所さえ切ってしまえばいいんだ

あとは抗がん剤治療で完治へとなるんだ



そう祈りながら終わるのを待っていた



4時間半ほど経ったところへ手術が終わったとの連絡

手術結果と摘出した胃を見なければならない

『見に行く?』と、誘ったが

姑はもちろん息子も拒否

義妹と2人で手術室に向かった



通された小さな部屋で待っていると

トレーに摘出した胃を乗せ執刀医がやってきた



眉間にシワが寄っていた


『残念ですが・・・転移が認められました』


え、、、、


頭が真っ白になった


『腹膜にですか?』


胃壁を破り腹膜へ癌がこぼれるとやっかいだと

術前にPCでも調べてたし先生にも聞いていた


生存率が下がるのだ


しかしPET検査にもMRIにも写らなかったそれが

開腹時に見つかった・・・

そしてリンパにも・・・


目にみえるものは全て取ったとのこと



生きてきた人生の中で一番の衝撃だった


夢ならいいのに・・・


摘出された胃はボコボコと癌の固まりで覆われていた


『もうじき目を覚まされます』

と先生が言った


すかさず私は

『事実は主人に言わないで下さい。回復して落ち着くまでは。』

そう言った


そのあと姑に息子にどう説明するか・・・

義妹と失意の中で焦りながら考えた

2人のところへ早く戻らないとおかしいと思われる

泣きたいのに涙は出せない

笑わないと・・・笑って戻らないと・・・



姑と息子が心配そうに待っていた

『どうやった?』

と聞く姑

『うん。大丈夫。胃見たわ~。あんなんやねんな~』

と、いたって普通に返事した

『転移はないねんな?』

もちろん、そう来るのはわかってる

『大丈夫やったわ。やれやれやわ~。もう目が覚めるらしいで』

そう話していると旦那がストレッチャーで

集中治療室に運ばれていくところだった

よかったよかったと安堵の姑と息子

義妹は顔がこわばっていた



術後は翌日の昼まで集中治療室にて完全看護


旦那の第一声は

『何時間かかった?』

手術時間が短いとよくないと気にしていたからである

『ほぼ5時間やで。予定通りやで』

と返事した

『転移は?なかった?』

すかさず聞く旦那

泣きそうな気持ちを押し殺して

『大丈夫。うまくいったし』

そう答えた



落ち着いたところで姑と義妹は帰宅

面会ギリギリの時間まで病院に息子といた

帰り道にヨカッタヨカッタと言う息子・・・


大きな秘密を抱えて家路に・・・


帰ると息子が疑問をぶつけてくる

彼も自分なりに色々調べている

私の術後説明に違和感を覚えるのだ


騙せないと思ったので事実を伝えた


すると息子は『えーー!嘘やーーー!』と、号泣した


小さい頃から旦那と息子は何をするのも一緒

釣りにスキー、スノボー、バイクに車

私といるより多くの時間と思い出を共有している


息子の涙はいつぶりだろう

目の前でソファーに身体をふせ震えながらて泣いている


『あきらめんとこう。治そう!私らで治そう!』

と、息子に声をかけるのが精一杯だった



長い長い1日は終わった




翌朝、昨夜とは打って変わって息子はしゃんとしていた

これから数%の奇跡を起こすのだ

他に治療法がないか探すと言うのだ




昨日の術後の説明、旦那の顔、息子の号泣


眠れない夜を過ごした


息子が仕事に出かけドアが閉じたその瞬間


涙がドーーっとあふれた


ずっと我慢していた感情があふれる


『わーーーーーーん、わーーーーーん』


自分でもびっくりするぐらいのおおきな声で泣いていた


止まらない


『うぇーーーーーん、あーーーーーーん、うぇーーーーん』


48とは思えない号泣、、、


ひとしきり泣いたらスッキリした



でも、もう泣かないと決めた

泣いたら癌に負ける!

泣いている暇はないのだ!



それから息子も私もPCであらゆる情報を集め

癌治療と向き合う決意を固めたのである



今の旦那を支えるのは私だから