東大に限らず、多くの院試(大学院試験)では、
専門科目と数学の試験が課されます。

また、院試において、
専門科目は高得点の争いになります。

一般に、大学院に進学を希望する学生は、
専門科目に対する興味があり、得意な人が多いからです。

したがって、専門科目で大きな差がつくことは、
多くないと考えられます。

そこで、数学の試験において、
高得点を取ることが、院試に合格する近道になります。

また、東大の情報理工学系研究科の院試においては、
数学の試験について内部生であることのアドバンテージが一切無いです。
よって、内部生であっても数学の試験をなめて受けると痛い目に遭うことになります。

【過去問の重要性】
院試において最も重要視するのは、過去問です。
当たり前の話ですが、試験の出題傾向を知っていれば、
対策することが容易になります。

院試の勉強を行う前に、
必ず過去問を手に入れることをお勧めします。
院試は大学受験とは異なり、
大学によって問題の出題傾向が大きく異なるからです。

大抵の場合、
大学のHPに過去の試験問題が掲載されており、
無料で手に入れることが出来ます。

 参考)東大の情報理工学系研究科の過去問

また、大学のHPに掲載されていなかったとしても、
電話等で取り寄せることが出来るはずです。

【過去の位問置付け】
過去問を入手したら、数年分に目を通して見て下さい。
おそらく、過去問の内容がほとんど理解出来ないと思います。

ただ、現状で理解出来ないからと言って落ち込む必要は一切ないです。
大抵の場合、院試は出題傾向が決まっており、
半年位勉強すれば平均的な大学生であれば問題を解けるようになります。
(内部生は数カ月間の勉強だけで合格しています。)

院試に合格するためには、
最低でも試験日までに、過去問を見て問題の解き方が
思い浮かぶレベルに到達する必要があります。

【定番本の存在】
一般にはあまり知られていないかもしれませんが、
院試には定番本と言われる本が存在します。

院試の経験者であれば、
一度は読んだことがあるという本です。

それが以下の「演習 大学院入試問題」という本です。
特に、数学の問題集が高い評価を受けています。

演習大学院入試問題〈数学〉I

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この本は非常に良い問題集なのですが、
解答の間違いが非常に多いです。

また、初版されてから長い年月が経っており、
掲載されている問題も若干古いです。

ただ、昔は上記の問題集に代わる本が存在しませんでした。
そのため、間違っている解答を修正しながら、
院試の勉強をするのが定番のスタイルでした。

しかし、近年になって秀逸な本が出版されました。
それが、以下の「詳解 大学院への数学-理学工学系入試問題集」です。

詳解 大学院への数学―理学工学系入試問題集

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「詳解 大学院への数学」は、
上記した「演習 大学院試験問題集」を
改定したような内容の本です。

解答の間違いが非常に少なく、
問題内容も新しいものが多いため、
院試の勉強において非常に役に立つと思います。

個人的な意見ですが、
院試の試験科目に数学がある場合には、
上記の二冊のうち一冊を持っておいて損はないです。

上記の二冊に掲載されているレベルの問題が解けるようになれば、
大抵の院試では数学に困ることは無くなると思います。
(ただし、数学が専門の研究科は更なる勉強が必要です。)

【導入本の存在】
院試の勉強を始めたばかりの大学生が、
過去問、定番本を読むと難しすぎてやる気を無くします。
(少なくとも、私はやる気を無くしました。)

したがって、過去問や定番本はあくまで、
ある程度、基礎の勉強が終わった段階で解き始めた方が良いと思います。

基礎の知識がない状態で過去問や定番本を解くと、
1つの問題を解くのに時間が掛り過ぎるからです。

そこで、院試の基礎の勉強をする上でお勧めの本があります。
それが、以下の「マセマのキャンパスゼミシリーズ」です。

スバラシク実力がつくと評判の微分積分キャンパス・ゼミ―大学の数学がこんなに分かる!単位なんて楽に取れる!

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工学系の大学生が数学の基礎を学ぶ上で、
これ以上、分かりやすい本は少ないと思います。

この本の値段は、
大学生のとっては高いですが、買って損はしないと思います。
(少なくとも、私はシリーズ全巻買って、損をしたと思っていません。)

この本を読めば、
ほとんど意味不明だった大学の数学が、
面白い様に分かるようになります。

マセマ
本は理解しやすさを最重要視しているため、
厳密な理論の説明が少ないのですが、
工学系の学生が院試の勉強をする上では全く問題ないです。


以上が院試の数学対策の概要です。

今後は東大の情報理工学系研究科の試験に特化して、
数学の試験対策を説明しようと考えています。
以下、東大・情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻の大学院試験について、
簡単にまとめておきます。

情報の確実性については保障しかねます。

ただし、自分自身の経験や学内での情報を基に、
作成しているため現実から大きく外れた情報ではないと考えています。

知能機械情報学専攻の試験科目は、
英語、数学、専門筆記、専門論述、口述の5科目です。

【現状】
大学院試験の中では、科目数が多い部類に入り、
院試の中でも比較的難度の高い研究科とされています。

経験ベースから話をすると、
所属している学生の7割程度が内部生であり、
残りの3割程度を外部の有名大学の学生と留学生が入学して埋めている状態です。

【配点】
配点は以下のようになっているという噂が学内ではありました。
英語   :足きり程度
数学   :100点
専門筆記:200点
専門論述:参考程度
専門口述:参考程度

*)数学に関しては200点だという、
  噂も存在します。

したがって、
数学と専門筆記試験の点数が取れれば、
ほぼ合格出来ます。

以下、試験の簡単な概要です。

【英語】
英語はTOEFL‐iBTのスコア提出を採用しています。
内部生(東大生)は英語が出来るイメージがあるかもしれませんが、
それは極一部の秀才達だけです。
ほとんどの内部生は英語に苦手意識を持っています。

また、TOEFL-iBTの点数が相当低くても受かっている人がいます。

友人はTOEFL-iBTの点数が120点中45点以下で、
試験の足きりを回避できていました。

そのため、
英語は足きりのために採用しているだけという噂をよく耳にしました。

【数学】
数学は大問3問の構成となっています。

第一問が線形代数、
第ニ問が解析、
第三問が確率・統計

と問題が固定されている感があります。

問題内容は院試のために独自に作成されたものが多いです。
また、具体的な試験の内容については東大の学部の講義で、
触れられていないため、内部生にアドバンテージは一切ないです。

内部生は、
大学受験までに培った力を活かして、
乗り切るしかないです。

外部生は、
出身大学で習わない分野を、
独学で補填する必要が出てきます。

研究科自体の合格の基準としては、
1問完答、2問部分点程度だと思います。

志望する研究室が人気研究室の場合には、
2問完答、1問部分点程度は取らないと厳しいかもしれません。


近いうちに、
数学の勉強に有効な参考書等について、
簡単なコラムを書こうと考えています。

 *)数学の対策方法

【専門筆記】
専門筆記は大問4問の構成になっています。
試験会場で問題を見ながら、4問のうち2問を選んで解答します。

第一問が機械工学又は電気回路、
第二問が機構学又はロボットモーション、
第三問が論理回路又はプログラム関連、
第四問がデータ構造とアルゴリズム又はプログラム関連

という問題構成になっていることが多いです。

大別すると、
第一問と第二問が機械系の学生向けの問題、
第三問と第四問が情報系の学生向けの問題です。

*)機械系と情報系に分かれている理由
  知能機械情報学専攻には、
  機械系の研究室と情報系の研究室が所属しており、
  双方の研究室にとって不利益にならないように、
  双方の専門分野から大問を2問ずつ出しているようです。

ただし、
情報系の問題の方が機械系の問題に比べて、
簡単なことが多いと思います。

また、問題の難度に差があり、
大問の1つが極端に難しい問題の時がある。

したがって、難しい問題を避けて、
いかに容易な問題に取組むかで、
点数が大きく変わりそうな試験です。

研究科自体の合格の基準としては、
一問完答、一問部分点程度だと思います。

志望する研究室が人気研究室の場合には、
二問完答に近い点数が必要になると思います。

専門試験については内部生にアドバンテージがあります。
学部時代に受けた講義の内容がある程度反映されているからです。

近いうちに、
専門筆記の勉強に有効な参考書等について、
簡単なコラムを書こうと考えています。


【専門論述】
専門論述は大問2問で構成されています。

第一問が「科学一般についての論述」、
第二問が「研究計画についての論述」

最も簡単な試験です。
第一問の内容は内部生でも事前に知らないので、
作成した教授や助教の趣味で作成された問題のようです。
即興での文章作成能力と最低限の常識を図っているのだと思います。

第二問は毎年内容が同じであるため、
事前の準備をしておくことをお勧め致します。

論述試験の二日後に筆記試験の合否が発表されるため、
内部生からは「専門論述試験は採点すらされていないのでは?」と
疑問の声が上がったことがあります。

また、「点数が低い内部生の救済措置のために存在しているのでは?」という、
根拠の無い噂まで飛び交っていました。

おそらく、専門論述試験は、
それらしい内容のことが書けていれば、
合否には影響しないと思います。

【口述試験】
口述試験は面接です。
会議室のようなところに通されて、
学部での研究内容や大学院でしたい研究について、軽い質問をされます。
会議室には全ての研究室の教授・助教が集結しているため、
そうそうたる顔ぶれが並びます。

もちろん、緊張するとは思いますが、
最低限の会話が出来れば落ちることはないです。

噂では、筆記試験の時点で合格者は決定しており、
口述試験は研究室配属の参考にしているようです。

研究室の配属については、
筆記試験の点数が高い人から決まり、
ボーダーに近い人は何処の研究室が引き取るかを、
話合うことになるそうです。

以上が、知能機械情報学専攻の試験概要です。
【大学院試験の難度について】
専門分野にもよりますが、
大学で入学するよりも簡単だとされています。

理由は科目数が少ないことです。
大学の入学試験を受ける場合には、
国語や社会を含めた5教科7科目を受ける必要があるが、
大学院試験では数学・英語・専門試験の3科目しか受けなくて良い。

また、専門分野によっては、
定員割れに近い状態の研究科も存在します。

内部生に不人気な研究科であったり、
内部生の大半が学部で就職してしまうような研究科が例として、
挙げられます。

不人気な研究科では、より広く学生を集めるために、
高校の試験以下の難度の問題を頻出していることもあります。

そのため、内部生からは、
「大学院試験は簡単すぎると、学生の質が下がるから難度を上げろ」と
批難の声が上がることが時々あります。


【偏差値について】
これから大学院試験を受ける後輩達に伝えたいことが1つあります。
大学受験では偏差値という絶対的な基準が存在しましたが、
大学院試験では偏差値という基準は役に立ちません。

それどころか、大学院試験を受ける場合には、
予備校で習う偏差値という概念は忘れた方が身のためです。

大学院試験の場合には、
専門分野によって著名な大学が変わるからです。

もちろん、
東大の方が京大よりも評価の高い研究分野が多く存在します。
しかし、全ての専門分野において東大の方が京大よりも、
優れている訳では決してないのです。

したがって、あなたが望む研究分野では、
何処の大学のどの研究室が高い評価を受けているのかを、
自分で調べる必要があります。

特に、内部進学でない他大から大学院試験を受けられる方は、
論文検索等から注意深く調べる必要があると思います。


【謝辞】
最後になりましたが、
内部生の方にはツマラナイ話をして申し訳ありませんでした。

より意識の高い外部生が増えることで、
研究科や研究室が活気づくのであれば、
このような陳腐なサイトも少しは役に立つのではないかと考えて、
東大の大学院試験について書かせて頂いています。