思い返せば、最初に切手を買ったのは今の上皇様のご成婚記念の切手だった。
板橋の本局に大人に混じって朝の8時から開門の9時まで並んで待った。
5円、10円、20円、30円の4種で65円。小学生が貯めた小遣いがすっかりなくなった。
ずいぶん長く並んで待っていたが、学校をさぼったという罪悪感には覚えがない。
日曜日だったら郵便局は開けないだろうし、どうしてだろうか。
JPSのカタログで発行日を確認する。1959年4月10日。ご結婚の当日だった。
大安の金曜日。大安は当然だろうが、金曜日が問題だ。当時の小学生が学校をさぼるのは
大問題だった。親戚の不幸でもなければ休まなかった。
しばらくネットをうろうろしていると、あったあった。
- 法律第十六号
- 皇太子明仁親王の結婚の儀の行われる日を休日とする法律
皇太子明仁親王の婚姻を国民こぞつて祝うため、結婚の儀の行われる日を休日とする。
というわけで、ご成婚の当日は、学校が休みだったのだ。
では、今の天皇陛下のご結婚のときはどうだったのだろう。
皇太子徳仁親王の結婚の儀の行われる日を休日とする法律をここに公布する。
御名御璽
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- 平成五年四月三十日
- やっぱり休みだったようだ。「婚姻を国民こぞつて祝うとなっているため」が抜けているけど。
切手はというと、ご成婚前日の発行となっている。FDCでも作るのでなければ、わざわざ
発行日に郵便局に行くご時世でもないのだろう。
小型シートはさらに遅れて、ご成婚の年の10月13日の発行となっている。
この切手、最初の凹版の彫刻の素案が政府内部で不評だったため、日本で初めての
肖像写真からのグラビア版になったという。
古希に近くなった今、収集の興味は戦前の普通切手に移ってしまったが、あの日長い行列の末に手にした緑色の30円切手が、宝石のように輝いていた記憶が、いつまでも「紙くず」
「ゴミ」(家人がいう)を集め続ける衝動のもとになっているのだろう。
昭和の切手少年の話である。