はじめに…
ようこそ。この物語に出逢ってくださいましたこと、心より感謝申し上げます。
インディゴチルドレンの私のために、私の元にやってきた彼。今世では親子という形でめぐり逢い、人生で本当に大切なことを氣づかせてくれるため… 私を成長させるため…
としか思えないようなドラマティックなストーリーが次々と展開していきます。
どうぞお楽しみいただけましたら幸いです。

　

" Transit "

第1章　㉒

【大学受験のその日まで】

　　

パラダイスの日々…

楽しく幸せな高校3年間という日々は

あっという間に過ぎてゆくものでもあり…

氣がつくと受験生という年になっていた。　

美術科なのでほとんどの人が美大藝大を

受験する。

彼ももちろん入学前からそのつもりで

この高校に入ったわけで、

高2からは、大手画塾~美大藝大予備校にも

通いはじめ、

高3からは夜間部に毎日、

夏期講習やコンクールも必須だった。　

同時に学校の卒業制作展の作品もあり…

最後の文化祭もあり…

受験生という自覚はあまりなく、

忙しく楽しんでいるようだった。　

夏休みが終わると、

ムサタマの推薦入試の子たちは　

ポートフォリオなどの準備で

受験モードが強くなりはじめていた。　

が、彼は相変わらずマイペースで

虫とりにも出かけていたようで…

もちろん虫友の相棒と。　

予備校の面談で先生から聴かされたのだが、

ある日、早退？抜け出して？サボって？

彼ら２人は虫とりに出かけてしまった、

のだと。　

何も知らずにいた私はビックリ‼️で

先生に謝るしかなかったが、

若い女性の先生は、

「毎日毎日、ずーっと描いていると

　煮詰まったりしますから、

　上手に息抜きも必要ですよ。

　彼ら見ていると羨ましいです。」

なんて仰っていただきましたが、　

先生自身は5浪して藝大日本画に

入ったそうで、

今、高３の現役の彼らには浪人の苦労など

何もわからないのだろうと。。。

藝大志望なら画力的には浪人生には

まだまだ勝てない、

とのことも。　

私にとって全くわからない世界で、

初めての経験なので、

とにかく本人と予備校の先生に

任せるしかなかったのだ。　

この時点でも彼は相変わらず、

藝大一本。他は行かないし、受けない。

と。　

私大も一つだけでも受けてみようよ、

という私の意見は全く聞かず。。。　

落ちたら浪人ってことなのだろうか。。。　

私大を受けないにせよ、

藝大も実技だけでなく、

センター試験は必須だし、

年明け１月にはいよいよ始まるのだ。　

私の焦る氣持ちとは裏腹に、

相棒の彼といつのまにか

理科部~(ムシ部)を作っていて、

文化祭には楽しそうに出展して

完売しちゃった、と自慢していたり…

ハロウィンの日は、

仮装して学校に行ったりと…

生徒たちはみんな仮装して授業を受けるのが

この高校の定番だったようだ。　

とにかく残り少ない高校生活は

しっかりと楽しんでいた。　

12月、卒業制作展が東京都美術館で

始まった。

100号の大作なので

最初から最後まで学校で描いていたために

私はどんなふうに描いているのかも、

どんな風に完成したのかも知らず、

楽しみに出かけて行った。　

入り口に入った途端に、

巨大なアレが出てきたのだ。　

そう！　

彼が憧れて愛してやまないアイツ。。。　

タイトル通りの

『水田の王者』が。　

本当に卒業制作、コレにしちゃったのかぁ。。　

と。

私の好みの美しく綺麗なものとは

真逆の我が子の作品の前で

呆然と立って観ていたものの、

実物をマジマジと見たことも、

見たいと思ったこともないので、

正直よくわからなかったし、

いったい何処がカッコよくて美しいのか、

何故魅了されるのか、

理解不能だったのだ。

申し訳ないが。。。

他の子の作品に癒されたり、

感動したりと、

卒業制作展自体は大いに楽しんで

堪能してきたのだ。　

冬休み前、

推薦入試で決まった同級生たちが

ある意味羨ましく、

私自身も当時、推薦で年内には決まって

お正月はゆっくりだったのになぁ、

なんて思い出しながら、

冬季講習の時期になっていた。　

冬季講習〜冬休みが終わると、

センター試験なのだ。　

3教科、2日間受けてきた。　

そして高校3年生は登校することも

ほぼなくなり、

本番の3月1日・2日の一次試験に向けて

予備校通いになるのだ。　　

都内の大手予備校にそのまま行かせていて

よいのだろうか。。。　

なんとなく氣迫が伝わってこない私は

焦っていた。　

よし！古巣に、KILALAに戻そう‼️

彼もすんなりと受け入れた。

尊敬しているKILALAの日本画 M先生の元で

2週間お世話になることに。

図々しいお願いを学院長先生とM先生が

快く受け入れてくれたのだ。　

私の思った通り、

彼の顔が氣持ちがみるみる引き締まっていった。　

最後の1週間はまた都内の予備校に戻った。　

本番前、私が体調管理しやすいということも

何かと…本人の意向もあり。。。　

いよいよ明日は本番。　

ずーっと思い描いてきた藝大受験。　　

受験票とか忘れものはない？

とにかく最後まで氣を抜かずに

描いておいでね！　

とだけ言って送り出した。　

お弁当と大量の御守りを持たせて

　
つづく。。。　
　
　
　　
　

à bientôt！

　
　

　

　
　

　

　

㉒ 大学受験のその日まで

㉒　大学受験のその日まで