本当に久しぶりに、ブログを開設した。

 

 何年か前に挫折したブログを、再びやってみようと思い立った理由は、多分、自分の思いとか、彼女の心の叫びとか、周囲の環境とかを、どこかの誰かに愚痴りたかったかもしれない。

 

 2018年8月29日。

 彼女と付き合ってから、一年と九日が経過した。

 

 僕らの出会いはTwitterだった。人によっては、怪訝な印象を持つかもしれない。今思えば、自分でもずいぶんとリスキーなことをしていたと、懐かしく思う。

 人目を気にせず、粘着したり、共通のネット友達にまで迷惑を掛けて。正直、よく晒されなかったなと疑問で一杯だ。

 

 2017年の6月某日。

 彼女だった高校の同級生と別れたばかりだった僕は、元々お喋りな性格もあってか、Twitterにて『通話垢』というものをやっていた。

 *通話垢…主にTwitterにて通話相手を募集するアカウントを指す。使用アプリにSkype,KakaoTalkなどが挙げられ、LINEの交換は身バレを伴うとして女性からは嫌がられていた。また、公序良俗を著しく犯している“裏垢”と呼ばれるアカウントに関連性もあり、現在は通話垢の過半数が『出会い』を含めて使用していることがある。

 

 当時、その界隈である程度の人とコンタクトを取って、通話垢生活に勤しんでいた頃、三ヶ月後に彼女になる女性と出会った――と言っても、ツイートを見つけただけだ。

 

『――Twitterのアプリの設定が分からなくて困っている――』

 

 確か、そんなツイートだった気がする。

 この時、同年代の異性と繋がっていないこともあり、通話友達になれたらなと思い、一つお節介をした。Twitterの設定について、掻い摘んで説明するリプライを送った。

 数分後、返信。治ったという報告と、お礼も兼ねてのリプライだった。――その後、全然治ってないけど、いい顔しておこうとしてリプを返していたらしい――

 

 その後、お互いFF(フォロー・フォロワー)の関係になり、DMスタート。すぐに通話にこぎつけた。

 

 第一印象は、今までに知り合ったことのない感じの女性(と言っても一つ上)だった。

 声はきれいで、話した印象はどこか薄幸そうな感じで、静かに笑う。清楚、という表現が当時はしっくりくる表現だったと思う。

 

 今はもう思い出せないが、はじめての通話は互いに愛嬌を振り撒いていたに違いない。

 お互いに、気に入ってもらおうとしていたと思う。

 きっと、他愛も無い話が一時間以上続いたと思う。――唐突に、彼女が切り出した。

 

「次、ほかの人とも通話する予定が入っているから」

 

 確かに、通話垢界隈で女性は貴重だ。絶対数こそ多いが、男性と比較したときの相対数は少ない。つまり、男が多い界隈なのだ。それゆえ、女性一人に対してアプローチする男は四、五人はいる。

 

 『裏垢女子』の有名ユーザーなら、フォロワー数も多ければ、一つのツイートに対するリプライやいいね、リツイートの数は尋常じゃない。(性的な目的を持つ男性ユーザーが多いということもある)

 

 だから、納得だった。そういうことなら、仕方がない。

 彼女に、楽しい時間だったことを告げると、こちらこそと返ってきた。正直、うれしかった。

 

 そして通話は終わる。Skypeの通話画面が閉じ、チャット画面に戻る。

 

『――今日はありがとう! また話そうね!――』

 

 そう返したのは、僕だったか彼女だったか、それでも互いに似たような世辞を言い合って、その夜は過ぎていった。

 

 この日から、僕の人生はゆっくりと変質していったのだ。